類似業種比準価額の計算の仕組み|配当・利益・純資産の3要素と斟酌率

類似業種比準方式は、上場会社の株価を基準に、自社の配当・利益・純資産の3要素を比較して株価を求める方法です。計算式の構造、各要素の出し方、大会社0.7・中会社0.6・小会社0.5の斟酌率の意味を計算例で解説します。

非上場株式の評価で、大会社や中会社の計算の中心になるのが「類似業種比準方式」です。自社と同じ業種の上場会社の株価を基準にして、配当・利益・純資産の3つの要素を比較しながら自社の株価を求めます。

計算式

類似業種比準価額 = A × {(b ÷ B + c ÷ C + d ÷ D)÷ 3} × 斟酌率 × (1株当たりの資本金等の額 ÷ 50円)

  • A:類似業種の株価(国税庁が業種ごとに毎月公表)
  • B・C・D:類似業種の1株当たりの配当金額・年利益金額・純資産価額(同じく公表)
  • b・c・d:評価する会社の1株当たりの配当金額・年利益金額・純資産価額(1株50円換算)

分数の部分は「自社が上場会社の何倍か」を3要素で測った平均です。その平均に類似業種の株価を掛け、さらに非上場であることの割引(斟酌率)を掛けます。

類似業種の株価Aの選び方

Aは、課税時期の属する月・前月・前々月の各月平均株価、前年の平均株価、課税時期以前2年間の平均株価のうち最も低いものを使えます。相続の月に株価が高くても前年平均などを選べるため、この選択で評価額が変わります。

3要素の出し方

  • b(配当):直前期末以前2年間の年平均配当金額(記念配当など臨時のものは除く)
  • c(利益):直前期の法人税の課税所得金額を基に、非経常的な利益を除き、受取配当の益金不算入額などを調整した金額(直前期と直前々期の平均も選べる)
  • d(純資産):直前期末の資本金等の額と利益積立金額の合計(帳簿価額ベース)

いずれも発行済株式数を「1株50円」に換算した株数で割ります。

斟酌率

会社規模 斟酌率
大会社 0.7
中会社 0.6
小会社 0.5

規模が小さいほど上場会社との比較が難しいとして割引が大きくなります。

計算例

A = 400円、B = 5円、C = 30円、D = 300円、自社は b = 10円、c = 90円、d = 600円、中会社、1株当たり資本金等の額500円(50円換算で10株分)とします。

  1. 各要素の比:10 ÷ 5 = 2.0、90 ÷ 30 = 3.0、600 ÷ 300 = 2.0
  2. 平均:(2.0 + 3.0 + 2.0)÷ 3 = 2.33
  3. 400円 × 2.33 × 0.6 = 559円(50円換算1株)
  4. 559円 × 500円 ÷ 50円 = 5,590円(実際の1株当たり)

注意点

利益要素cは、直前期の業績で大きく変動します。一時的に利益が大きい期に相続が起きると評価が跳ね上がる一方、役員退職金の支給などで利益が圧縮された期は評価が下がります。生前対策としてよく語られるのはこの性質を使ったものですが、恣意的な操作とみなされないよう、事業上の合理性が必要です。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

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