生産緑地の相続税評価|買取り申出ができるかどうかで減額割合が変わる

生産緑地に指定された市街地農地は、買取り申出ができない残り期間に応じて5%から35%の減額ができます。相続による主たる従事者の死亡で申出が可能になった場合は5%減です。特定生産緑地との関係と計算例を解説します。

三大都市圏の市街化区域にある農地の多くは「生産緑地」に指定されています。生産緑地は農地として管理する義務があり、原則として指定から30年間は宅地への転用や売却ができません。この制限を考慮して、相続税評価では市街地農地としての価額から一定割合を減額します。

減額割合の仕組み

減額割合は、「課税時期に市区町村への買取り申出ができるかどうか」で決まります。

買取り申出ができない生産緑地:指定から30年を経過するまでの残り期間に応じて、次のような割合で減額します。

買取り申出ができるまでの期間 減額割合
5年以下 10%
5年超10年以下 15%
10年超15年以下 20%
15年超20年以下 25%
20年超25年以下 30%
25年超30年以下 35%

買取り申出ができる生産緑地(指定から30年を経過しているもの、または主たる従事者の死亡などで申出が可能になったもの)、および申出中のもの:5%減額です。

相続が発生した場合の扱い

生産緑地は、農業の主たる従事者が死亡すると買取り申出ができるようになります。したがって、主たる従事者だった方が亡くなった場合の相続税評価では、残り期間にかかわらず「買取り申出ができる生産緑地」として5%減になるのが原則です。一方、主たる従事者でない方(農業に従事していない名義人など)の相続であれば、残り期間に応じた減額が使えます。

特定生産緑地との関係

1992年に指定された生産緑地の多くは2022年に30年を迎え、「特定生産緑地」として10年ごとに延長する制度に移行しています。特定生産緑地に指定した農地は、延長期間の満了まで買取り申出ができないため、その残り期間に応じた減額割合を使います。指定の有無は市区町村の都市計画担当部署で確認できます。

計算例

市街地農地としての評価額(宅地比準方式で造成費を控除した後)が6,000万円、特定生産緑地の残り期間が7年、農業の主たる従事者ではない方の相続の場合。

  • 残り期間7年 → 5年超10年以下 → 減額割合15%
  • 評価額:6,000万円 × (1 − 0.15)= 5,100万円

主たる従事者の相続なら5%減で5,700万円です。

注意点

生産緑地の減額と、農地の納税猶予の制度は別のものです。農業を続ける相続人が納税猶予を受ける場合は、評価額とは別に農業投資価格に基づく計算を行います。また、買取り申出をして市区町村が買い取らず、宅地化できるようになった農地は、生産緑地としての減額はなくなり、市街地農地として評価します。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

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