事業承継対策で種類株式を導入している会社や、株主から株式を買い取って自己株式を持っている会社は増えています。これらの株式がある場合、非上場株式の評価で通常とは違う扱いが必要になります。主な種類ごとに整理します。
自己株式の扱い
会社が自分で保有する自己株式は、議決権も配当もないため、評価上は次のように扱います。
- 発行済株式数から除く:1株当たりの純資産価額や類似業種比準価額を計算するときの分母は、自己株式を除いた株式数です
- 議決権割合の判定でも除く:同族株主の判定(30%・50%)や中心的な同族株主の判定(25%)では、自己株式を分母から除いて計算します
たとえば発行済株式1万株のうち自己株式が2,000株なら、8,000株を基に計算します。自己株式の存在で、各株主の議決権割合が上がる点に注意が必要です。
無議決権株式(議決権制限株式)
議決権がない株式も、原則として普通株式と同じ方法で評価します。ただし、同族株主が相続・遺贈で取得した無議決権株式については、一定の条件のもとで評価額を5%減額し、その減額分を同じ相続で議決権のある株式を取得した同族株主の株式に加算する方法を選択できます。会社全体の評価額は変わらず、株主間で評価額を付け替える仕組みです。
無議決権株式は同族株主の判定(議決権割合)には含まれないため、後継者に議決権株式を、他の相続人に無議決権株式を渡す設計がよく使われます。
その他の種類株式
配当優先株式
配当について普通株式より優先する種類株式は、類似業種比準方式の配当要素(b)を株式の種類ごとに計算します。優先株式には優先配当の金額を、普通株式にはその残りを使うため、配当優先株式のほうが類似業種比準価額は高くなります。純資産価額方式では区別せず、同じ価額で評価します。配当還元方式を使う場合も、その株式の実際の配当金額を基に計算します。
社債類似株式
一定期間後に発行価額で償還され、配当が固定され、議決権がなく、残余財産の分配が発行価額に限られるなど、社債に近い性質を持つ種類株式は、株式ではなく社債に準じて評価します。評価額は発行価額を基準とし、既経過利息に相当する未払配当を加えます。
拒否権付株式(黄金株)
株主総会の特定の決議を拒否できる株式は、拒否権の有無を考慮せず、普通株式と同じ価額で評価します。
実務上の対応
種類株式のある会社の評価では、定款と登記事項証明書で各種類の内容(議決権・配当・償還・残余財産分配の条件)を確認することが出発点です。また、評価上の扱いが定められていない特殊な種類株式は、個別に判断が必要になります。種類株式の設計は会社法や遺留分にも影響するため、導入時に税務と法務の両面から確認してください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。