太陽光発電設備の相続税評価と承継|設備は減価償却資産、売電収入の引き継ぎとFIT認定の名義変更

太陽光発電設備は相続税では機械装置などの減価償却資産として評価し、新品価格から定率法による償却費を引いた額が目安になります。敷地は雑種地として評価し、FIT認定や電力会社との契約の名義変更が必要です。評価の方法と承継の手続き、小規模宅地等の特例の可否を解説します。

固定価格買取制度(FIT)の普及で、個人で太陽光発電設備を所有して売電収入を得ている方が増えました。この設備を相続すると、「どう評価するのか」「売電の契約はどうなるのか」という問題が生じます。この記事では、設備・敷地・売電収入のそれぞれの扱いを整理します。

設備は減価償却資産として評価する

太陽光パネル、パワーコンディショナー、架台などの発電設備は、相続税では「一般動産」として評価します。原則は売買実例価額や精通者意見価格ですが、それらが明らかでない場合は、同じものを新たに取得する価額から、取得時から相続開始時までの減価償却費(定率法)を差し引いた金額で評価します。

計算例:取得価額2,000万円、法定耐用年数17年、取得から5年経過の設備 定率法の償却率(17年)は0.118として、5年分の償却後の残額は 2,000万円 ×(1 − 0.118)^5 ≒ 2,000万円 × 0.534 ≒ 1,068万円 が評価の目安です(実際の償却率は取得時期によって異なるため確認が必要です)。

所得税の申告で特別償却や即時償却を使って帳簿価額が小さくなっていても、相続税の評価には影響しません。帳簿価額ではなく上の方法で計算し直す点に注意してください。

敷地の評価

発電設備の敷地は、地目が「雑種地」として評価されるのが一般的です。近隣の宅地や農地に比準して評価し、市街化調整区域内であれば建築制限に応じた減額(しんしゃく割合)が適用されることがあります。農地を転用して設置した場合は、農地法の転用許可の有無や地目の変更状況も確認します。

敷地の状況 評価の考え方
自分の土地に設置 雑種地として評価(宅地比準や農地比準)
他人から借りた土地 賃借権を評価(通常は雑種地の評価額の一定割合)
他人に土地を貸している 貸し付けられている雑種地として賃借権相当を控除

小規模宅地等の特例については、太陽光発電が「事業」として行われているかが問題になります。発電事業は不動産貸付業には該当しないため、事業的規模で営まれていれば特定事業用宅地等(400㎡まで80%減額)の対象になりうるとされていますが、建物や構築物の敷地であることなどの要件を満たすかは個別の確認が必要です。設備だけが置かれた土地は構築物の敷地と考えられますが、判断が分かれる論点であるため、税理士にご相談ください。

売電の権利と契約の承継

FIT認定は設備ごとに事業者が登録されているため、相続人は経済産業省(資源エネルギー庁)への事業者の変更手続きを行い、電力会社との接続契約や売電の振込口座も変更します。手続きの間も売電は続き、相続開始日以降の売電収入は相続人の所得です。相続開始日までの未入金の売電収入は未収入金として相続財産に計上します。

また、FITの買取期間(10年または20年)が残り少ない設備は、その後の売電単価が大きく下がるため、設備の実勢価値も低くなります。買取期間の残りが評価に直接反映される仕組みにはなっていませんが、売買実例価額で評価できる場合には考慮されることがあります。

太陽光発電設備は、所得税の申告では償却が進んでいても相続税では一定の評価額が残るため、申告漏れになりやすい財産です。設備の取得資料と売電の契約書を揃えて申告に臨んでください。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

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