農地は面積が広く、市街化区域内では宅地並みの評価になることもあるため、相続税が農業の継続を妨げることがあります。これを防ぐのが農地等の納税猶予の制度です。
仕組み
農地を相続した相続人が農業を続ける場合、農地の評価額のうち「農業投資価格」(農業用として取引される場合の価格で、通常の評価額よりはるかに低い)を超える部分に対応する相続税の納税が猶予されます。猶予された税額は、次の場合に免除されます。
- 相続人が亡くなるまで農業を続けたとき(終身営農)
- 相続人が後継者に農地を生前一括贈与したとき
- 市街化区域外の農地などで、20年間農業を続けたとき(三大都市圏の特定市の市街化区域内農地は終身営農が必要)
主な要件
- 亡くなった方が農業を営んでいた(または特定貸付けをしていた)
- 相続人が申告期限までに農業を引き継ぎ、その後も継続する
- 申告期限までに遺産分割が確定し、農業委員会の証明書を添付して申告する
- 猶予税額に見合う担保を提供する
- 3年ごとに継続届出書を提出する
途中でやめた場合
農地を売却・転用したり、農業をやめたりすると、猶予は打ち切られ、猶予されていた相続税と利子税をまとめて納める必要があります。将来、農地を宅地化する可能性がある場合は、慎重に判断しなければなりません。
生産緑地との関係
市街化区域内の農地は、生産緑地の指定を受けていることが納税猶予の前提になります。指定の状況や2022年以降の特定生産緑地への移行状況も確認が必要です。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。