外国籍の配偶者がいる相続|配偶者の税額軽減は国籍を問わず使える?準拠法の考え方

配偶者の税額軽減に国籍の要件はなく、法律上の婚姻関係にあれば外国籍の配偶者でも1億6,000万円または法定相続分まで非課税です。相続にどの国の法律が適用されるか(準拠法)と、海外在住の場合の注意点を解説します。

国際結婚のご家庭で「配偶者が外国籍だと、配偶者の税額軽減は使えないのでは」というご相談をよく受けます。結論として、配偶者の税額軽減に国籍や居住地の要件はありません。法律上の婚姻関係にある配偶者であれば、外国籍でも海外在住でも、1億6,000万円または法定相続分のいずれか大きい額まで相続税がかかりません。

税額軽減の要件は「法律上の配偶者」であること

配偶者の税額軽減の要件は、戸籍上の婚姻関係(外国で婚姻した場合はその国の方式で有効に成立した婚姻)があること、申告期限までに遺産分割が終わっていること、申告書を提出することの3点です。内縁関係は対象外ですが、外国籍であること自体は障害になりません。

婚姻の証明には、日本人側の戸籍に婚姻の記載があればそれで足ります。海外で婚姻し日本に届け出ていない場合は、現地の婚姻証明書(Marriage Certificate)と翻訳文で証明します。

どの国の法律で相続するか(準拠法)

税額軽減を使うには、配偶者が「どの財産をどれだけ取得したか」を確定させる必要があります。その前提となる相続のルールは、日本の「法の適用に関する通則法」により、被相続人の本国法で決まります。

  • 亡くなった方が日本人なら、配偶者が外国籍でも日本の民法で相続する。配偶者と子の法定相続分は2分の1ずつ
  • 亡くなった方が外国籍なら、その国の法律が原則。ただし、その国の法律が「住所地の法律による」としている場合は、日本法に戻る(反致)ことがある

たとえば日本に住む日本人の夫が亡くなり、妻が米国籍なら、相続は日本法です。妻が自宅と預金のうち1億2,000万円を相続すれば、1億6,000万円以内なので妻に相続税はかかりません。

注意点

  • 配偶者が海外在住の制限納税義務者でも税額軽減は使えますが、課税対象が国内財産に限られるため、計算の前提が変わります
  • 配偶者が相続した財産を本国に送金する場合、本国で贈与税や所得税の問題が生じないか現地で確認が必要です
  • 二次相続(配偶者が後に亡くなるとき)では、配偶者の本国法で相続が決まり、日本の子が相続人に当たるかどうかもその国の法律で判断されます

国際相続は税金だけでなく、民法上の相続人の確定から複雑になります。配偶者の税額軽減を最大限に活用しつつ、二次相続まで見据えた分割を無料相談で検討することをおすすめします。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

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