小規模宅地等の特例は、遺産分割で取得した場合だけでなく、遺言による遺贈で取得した場合にも適用されます。また、取得者は「相続人」に限られておらず「親族」であればよいため、相続人でない孫や子の配偶者が遺言で自宅を取得した場合でも、要件を満たせば使える可能性があります。
遺贈でも特例は使える
特例の対象は「相続または遺贈により取得した宅地」です。遺言で「自宅の土地を長男に相続させる」「孫に遺贈する」と書かれていれば、その取得者について要件を判定します。相続人全員の同意が必要な遺産分割協議を経なくてよいため、分割がもめそうなときに遺言で取得者を決めておくのは有効な対策です。
ただし、遺言で取得者が決まっていても、特例の選択(どの土地にどれだけ使うか)については、申告書に特例を受ける人全員の同意を記載する必要があります。
相続人でない親族が取得した場合
特例の取得者要件は「親族」です。親族とは、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族をいいます。したがって、次のような人も対象になり得ます。
- 被相続人と同居していた孫(代襲相続でない場合は相続人ではない)
- 被相続人と同居していた長男の妻(姻族1親等)
- 被相続人と同居していた兄弟姉妹(子がいる場合は相続人ではない)
それぞれ、同居親族として申告期限までの居住・保有の要件を満たす必要があります。家なき子の要件は「被相続人に配偶者も同居の相続人もいない」ことが前提なので、相続人でない親族が家なき子として取得するケースはあまり多くありません。
2割加算との関係
相続人でない孫や子の配偶者が財産を取得すると、相続税額が2割加算されます。特例で評価は下がりますが、その人の税額は1.2倍になる点を合わせて考える必要があります。
例として、評価額5,000万円の敷地を同居の孫が遺贈で取得した場合を考えます。
- 特例適用後の評価額:5,000万円×(1-0.8)=1,000万円
- 孫の税額は、この1,000万円をもとに計算した税額の1.2倍
特例の減額効果が大きいため、2割加算を考慮しても有利になるケースが多いですが、全体の税額で確認が必要です。
注意点
遺言で取得者が決まっていても、相続人全員の合意で遺言と異なる分割をすることは可能です。その場合は分割協議による取得として扱われます。また、「相続させる」遺言と「遺贈する」遺言では登記手続きが異なりますが、特例の適用そのものに差はありません。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。