相続欠格・廃除された人の子は代襲相続できる?放棄との違いと相続税の計算

相続欠格や廃除で相続権を失った人に子がいれば、その子が代襲相続しますが、相続放棄では代襲相続は起きません。代襲した孫は法定相続人の数に含まれ、2割加算の対象にもなりません。代襲が起きるケースと起きないケース、申告のときの注意点を整理します。

親を虐待した子が相続廃除され、遺言書を偽造した子が相続欠格になる。このとき「その子の子(孫)」はどうなるのでしょうか。相続放棄とは扱いが違い、代襲相続が起きます。この記事では代襲の有無で相続人の数と相続税がどう変わるかを解説します。

代襲相続が起きるケース・起きないケース

代襲相続は、本来の相続人が相続開始より前に死亡している場合のほか、相続欠格または廃除で相続権を失った場合に、その人の子が代わって相続する制度です。

相続権を失った理由 代襲相続 理由
相続開始前の死亡 起きる 民法887条2項
相続欠格 起きる 欠格は本人の事情であり子には及ばない
相続廃除 起きる 廃除も本人限りの効果
相続放棄 起きない 放棄者は初めから相続人でなかったものとされる

例えば父が亡くなり、長男が遺言書を破棄して欠格になった場合、長男に子(父の孫)がいれば、その孫が長男の相続分を引き継ぎます。長男が「自分は相続できないなら、せめて子に」と考えた場合、放棄ではなく欠格・廃除であれば結果として子に渡る点は意外に知られていません。

逆に、子が相続放棄をしたときに孫が代わりに相続することはありません。

相続税の計算への影響

代襲相続した孫は、被相続人の子と同じ立場で相続人になります。相続税の計算では次のとおりです。

  • 法定相続人の数: 代襲した孫を数に入れる。孫が2人いれば2人とも含まれ、基礎控除は欠格者1人分ではなく孫2人分増える
  • 2割加算: 代襲相続人である孫は一親等の血族として扱われ、2割加算の対象にならない(養子縁組した孫が代襲なしで相続する場合は加算対象)
  • 未成年者控除: 孫が未成年なら10万円×(18−年齢)の控除が使える
  • 生命保険金の非課税枠: 孫が相続人として受け取れば枠を使える

例えば相続人が妻と長男(欠格)の場合、長男に子が2人いれば法定相続人は妻と孫2人の3人となり、基礎控除は4,800万円です。長男が放棄していた場合は、法定相続人の数は妻と長男の2人(放棄者も数に含める)で4,200万円のままです。

申告のときの注意点

  • 欠格は戸籍に記載されないため、欠格事由を証明する資料(判決書など)を添付して相続人の範囲を説明する
  • 廃除は家庭裁判所の審判が確定すると戸籍に記載されるので、戸籍で確認できる
  • 代襲相続人が未成年で親(欠格者)が親権者の場合、親が子を代理して協議に参加することは利益相反になる可能性があるため、特別代理人の選任を検討する

相続人の範囲が変わると税額も変わります。欠格・廃除が絡む相続は事実関係の整理から必要なので、早めにご相談ください。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

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