外国税額控除の計算と限度額|海外の財産に現地で相続税を払ったときの二重課税の調整

海外にある財産について外国で相続税に相当する税金を納めた場合、日本の相続税から外国税額控除として差し引けます。控除限度額の計算式、納付した外国税額が限度額を超えた場合の扱い、対象になる税金を計算例で解説します。

海外に不動産や預金を持っている方が亡くなり、その国で相続税に相当する税金を納めた場合、日本でも同じ財産に相続税がかかると二重課税になります。これを調整するのが外国税額控除です。ただし、外国で納めた税額の全部が引けるわけではなく、日本の相続税のうち国外財産に対応する部分が限度になります。

控除できる額

控除額は、次の2つのうち少ない方です。

  1. 外国で納めた相続税に相当する税額
  2. 控除限度額=その相続人の相続税額×国外財産の価額÷その相続人が取得した財産の価額

ここでいう相続税額は、相次相続控除までを差し引いた後の税額です。財産の価額は債務控除後の額を使い、国外財産の価額は外国の税金の対象になった財産の価額です。

計算例

長男が取得した財産1億2,000万円(うち米国の不動産4,000万円)について、相次相続控除までを引いた後の相続税額が600万円、米国で納めた遺産税が250万円だったとします。

  • 控除限度額:600万円×4,000万円÷1億2,000万円=200万円
  • 外国で納めた税額:250万円
  • 控除額:少ない方の200万円

長男の相続税額は600万円-200万円=400万円になります。限度額を超えた50万円は切り捨てで、還付や繰越はありません。

項目 金額
相続税額(相次相続控除後) 600万円
国外財産の割合 4,000万円÷1億2,000万円
控除限度額 200万円
外国で納めた税額 250万円
控除後の相続税額 400万円

対象になる外国の税金

控除の対象は、日本の相続税に相当する税金です。米国の遺産税、英国の相続税などが典型です。相続人ではなく遺産そのものに課される方式の税金(遺産税)でも対象になります。一方、不動産の登記にかかる税金や所得税に相当するものは対象外です。

外国税額は、納付した日の為替レートで円換算するのが原則です。日本の申告期限までに外国の税額が確定していない場合は、確定後に更正の請求で控除を受ける方法が考えられます。

注意点

  • 外国税額控除を受けられるのは、国外財産に日本の相続税が課される人(無制限納税義務者)です。国内財産だけが課税される人には関係ありません
  • 外国の税金の納付を証明する書類(納税証明や申告書の写しとその日本語訳)を添付します
  • 国によっては日本との租税条約で扱いが定められている場合があります

海外財産の相続は、評価・為替・各国の手続きが絡み、期限管理が難しくなります。海外に財産がある場合は早めに無料相談でご相談ください。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

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