相続税の税額控除の適用順序|贈与税額控除から外国税額控除まで6つの控除の流れ

相続税の税額控除には決まった適用順序があり、贈与税額控除、配偶者の税額軽減、未成年者控除、障害者控除、相次相続控除、外国税額控除の順に差し引きます。順序が結果に影響するケースと控除しきれない額の扱いを解説します。

相続税の計算では、各相続人の算出税額から複数の税額控除を差し引きますが、その順序は法律で決まっています。順序を間違えると控除しきれない額の扱いが変わり、税額が違ってくることがあります。この記事では6つの控除の順序と、順序が意味を持つ場面を解説します。

控除の順序

各相続人の算出税額(2割加算がある人はその加算後)から、次の順に差し引きます。

  1. 暦年課税分の贈与税額控除
  2. 配偶者の税額軽減
  3. 未成年者控除
  4. 障害者控除
  5. 相次相続控除
  6. 外国税額控除

さらに、相続時精算課税を使っていた人は、最後に相続時精算課税分の贈与税額控除を差し引きます。この控除だけは引ききれない分が還付される点で、他の控除と性質が異なります。

順序が影響する場面

各控除は、その段階で残っている税額を限度に差し引きます。控除しきれない分は、未成年者控除と障害者控除は扶養義務者の税額から引けますが、それ以外の控除は切り捨てになります。

例えば、17歳の子が算出税額50万円で、未成年者控除10万円×(18-17)=10万円と障害者控除がある場合を考えます。

  • 算出税額:50万円
  • 未成年者控除:50万円-10万円=40万円
  • 障害者控除(一般、20歳までに換算して10万円×(85-17)=680万円):40万円-680万円=0円。引ききれない640万円は扶養義務者から控除

順序が決まっているため、「障害者控除を先に引いて未成年者控除を残す」といった選択はできません。

配偶者の税額軽減と他の控除

配偶者が未成年や障害者であるケースは稀ですが、配偶者が相次相続控除や外国税額控除の対象になることはあります。配偶者の税額軽減で税額がゼロになれば、その後の相次相続控除などは引く余地がなく、切り捨てられます。相次相続控除の額を他の相続人に移すことはできません。

控除 引ききれない場合
贈与税額控除(暦年) 切り捨て(還付なし)
配偶者の税額軽減 切り捨て
未成年者控除・障害者控除 扶養義務者の税額から控除
相次相続控除・外国税額控除 切り捨て
相続時精算課税分の贈与税額控除 還付される

実務上の対応

申告書では第4表から第8表にかけてこれらの控除を順番に計算する構成になっており、順序を自然に守れるようになっています。ただし、扶養義務者への振替や相次相続控除の按分など、複数の控除が重なる相続では計算が煩雑です。該当する控除が複数ある場合は、相続税シミュレーションでの概算に加え、個別の試算をご相談ください。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

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