小規模宅地等の特例では「被相続人と生計を一にしていた親族」という言葉が何度も出てきます。別居していても生計一と認められることがあり、逆に同居していても生計が別と判断されることがあります。基準は「生活費の財布が実質的に同じか」です。判定の考え方を整理します。
生計一の基本的な考え方
生計を一にするとは、日常の生活費を共通にしている関係をいいます。同居していて生活費を分けていない親子は通常、生計一です。別居の場合は、どちらかがもう一方の生活費の全部または大部分を負担しているかどうかで判断します。
実務で目安とされる要素は次の通りです。
- 生活費・療養費の送金が継続的にあるか
- 送金額が受け取る側の生活を支える程度の金額か
- 余暇には一緒に過ごすなど、別居が勤務や療養の都合による一時的なものか
一方、親が年金で自立して暮らし、子はたまに贈り物を送る程度であれば、生計は別と見られるのが一般的です。
別居で仕送りをしているケース
例えば、地方に住む親に子が毎月10万円を送金し、親の生活費の大部分をまかなっていた場合は、生計一と判断される可能性があります。逆に、親に十分な年金収入があり、子からの送金が月1万円程度のお小遣い程度なら、生活費を共通にしているとは言いにくくなります。
判定は金額だけで決まるわけではなく、親の収入や支出の全体の中で、送金がどの程度の役割を果たしていたかを総合的に見ます。
同居していても生計が別になるケース
二世帯住宅で玄関も台所も別、光熱費も別々に契約し、生活費のやり取りが一切ない場合は、同じ建物に住んでいても生計別と判断されることがあります。ただし、居住用の特例については、二世帯住宅で区分登記されていなければ「同居親族」として扱える特別な扱いがあるため、生計一の判定とは分けて考えます。
証拠として残しておきたいもの
生計一を主張するなら、客観的な記録が必要です。送金の振込記録、親の医療費や施設費用を子が支払った領収書、生活費の負担についてのメモなどです。現金の手渡しは証明が難しいため、できるだけ銀行振込にしておくことをおすすめします。
生計一かどうかは特例の可否を分ける重要な判定で、税務調査でも確認されやすい項目です。無料相談で状況を整理してみてください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。