農地の納税猶予は、農業を続ける限り相続税の納税が猶予され、最終的に免除される制度です。しかし、猶予を受けた後に手続きを怠ったり、農地の使い方を変えたりすると、猶予が打ち切られて猶予税額と利子税をまとめて納めることになります。この記事では、猶予を受けた後に注意すべき点を整理します。
3年ごとの継続届出書
猶予を受けている間は、申告期限から3年ごとに「継続届出書」を税務署に提出する必要があります。農業委員会が発行する、引き続き農業を営んでいることの証明書を添付します。
届出書を期限までに出さないと、原則として猶予は打ち切られます。やむを得ない事情があれば救済される余地はありますが、3年に1度という間隔は忘れやすいため、カレンダーや顧問税理士への依頼などで管理しておくことが大切です。
打ち切りになる主な事由
次のような場合、猶予の全部または一部が打ち切られます。
- 猶予を受けた農地を売却、贈与、転用(宅地化など)した
- 農業をやめた
- 農地を他人に貸し付けた(後述の特定貸付けなどを除く)
- 継続届出書を提出しなかった
譲渡や転用の面積が猶予対象農地の20%を超えると全部が打ち切られ、20%以下なら対応する部分だけが打ち切られるのが基本です。打ち切り時には、猶予税額に加えて申告期限からの利子税を納付します。利子税の率は年によって変わるため最新の情報を確認してください。
貸しても猶予が続く「特定貸付け」
高齢で農業を続けることが難しくなった場合、原則どおりなら貸し付けは打ち切り事由です。しかし、農地中間管理機構(農地バンク)などを通じた一定の貸付け(特定貸付け)であれば、猶予を継続できます。貸し付けた日から2か月以内に届出書を提出するのが要件です。
また、身体障害や要介護状態で営農が困難になった場合に農地を貸す「営農困難時貸付け」も、猶予を続けられる制度として設けられています。
| 農地の扱い | 猶予 |
|---|---|
| 自分で耕作を続ける | 継続 |
| 農地バンク等を通じた特定貸付け | 継続(届出が必要) |
| 営農困難時貸付け | 継続(届出が必要) |
| 個人間で勝手に貸す | 打ち切り |
| 売却・転用 | 打ち切り(面積により全部または一部) |
猶予の免除
猶予税額は、農業相続人が死亡したとき、または農地を後継者に生前一括贈与して贈与税の納税猶予に移行したときに免除されます。市街化区域内の農地(三大都市圏の特定市以外)では、20年間営農を続けると免除される区分もあります。
猶予期間は数十年に及ぶため、相続人の世代交代を見据えた管理が必要です。猶予を受けた農地の今後についてお悩みの方は無料相談でご相談ください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。