申告後に「別の土地に特例を使った方が有利だった」と気づくことがあります。しかし、小規模宅地等の特例はいったん選択して申告すると、原則として後から対象の土地を変更(選択替え)することはできません。この記事では、変更できない理由と、例外的に認められる場合を整理します。
原則:選択替えは認められない
小規模宅地等の特例は、相続人全員の同意のもとで「どの土地に適用するか」を申告書に記載して選択する制度です。選択は納税者の意思表示であり、計算の誤りではありません。そのため、適法に行った選択を後から有利なものに変えることは、更正の請求の対象にならないとされています。
例えば、自宅とアパートの両方に要件があり、申告ではアパートの土地を選んだとします。後で自宅に使った方が減額が大きかったと分かっても、自宅への変更は原則としてできません。
変更が認められる余地がある場合
一方、次のようなケースは「選択替え」ではなく「当初の申告が誤っていた」ことになるため、更正の請求や修正申告で正しい内容に直せる可能性があります。
- 選択した土地が実は要件を満たしていなかった(適用できない土地を選んでいた)
- 面積や評価額の計算に誤りがあり、減額額が間違っていた
- 未分割で申告し、その後に分割が確定して特例を受けられるようになった(3年以内の分割見込書を出していた場合)
未分割申告からの適用は、分割が決まった日の翌日から4か月以内に更正の請求を行います。
特例の適用自体を後から求めることは可能か
申告時に特例を一切使わなかった場合に、後から適用を求められるかという問題もあります。小規模宅地等の特例は申告書への記載と書類の添付が要件ですが、期限後申告や修正申告でも適用できる仕組みになっています。ただし、当初に要件を満たす土地があったのに申告で選ばなかった場合、更正の請求で新たに適用を求めることは難しいとされています。
選択を誤らないために
選択替えができない以上、当初申告の段階で全パターンを比較しておくことが唯一の対策です。
- 取得者ごとの要件と、配偶者の税額軽減との関係を確認する
- 1㎡あたりの減額効果で土地を比較する
- 二次相続まで含めた税額で考える
比較を怠ったまま申告すると、取り返しがつきません。申告前の段階で無料相談にお持ちいただければ、選択の妥当性を確認いたします。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。