1階が店舗や事務所、2階以上が自宅という併用住宅の敷地は、1つの土地に居住用と事業用の2つの用途があります。小規模宅地等の特例では、この敷地を用途ごとに按分し、それぞれの区分で要件を判定して適用します。按分の仕方を知っておくと、どの部分にどの特例が使えるかが見えてきます。
床面積の割合で按分する
按分は原則として建物の床面積の割合で行います。例えば敷地300㎡、建物の延床面積200㎡のうち店舗が80㎡、自宅が120㎡なら次のようになります。
- 居住用部分の敷地:300㎡×120/200=180㎡
- 事業用部分の敷地:300㎡×80/200=120㎡
居住用180㎡は特定居住用宅地等(限度330㎡・80%減)、事業用120㎡は特定事業用宅地等(限度400㎡・80%減)としてそれぞれ判定します。この2つは完全併用できるため、要件を満たせば300㎡全部に80%の減額を受けられます。
事業用部分の種類で結果が変わる
事業用部分の扱いは、誰が事業をしていたかで区分が変わります。
| 1階の利用状況 | 区分 | 限度面積・減額率 |
|---|---|---|
| 被相続人自身の店舗 | 特定事業用宅地等 | 400㎡・80% |
| 被相続人の同族会社に貸している | 特定同族会社事業用宅地等 | 400㎡・80% |
| 第三者に店舗として貸している | 貸付事業用宅地等 | 200㎡・50% |
第三者に貸している場合は貸付用となり、居住用との併用に調整計算が入ります。この場合、居住用180㎡を使うと貸付用の枠は200-180×200/330=約90.9㎡となり、120㎡のうち約90.9㎡までしか50%減額を受けられません。
按分で気をつける点
- 共用の階段や廊下は、店舗と自宅の床面積の比で振り分けるのが一般的です
- 店舗部分を被相続人の配偶者や子が営んでいた場合は、その人が生計を一にしていたかで区分が変わります
- 自宅部分を取得する人と店舗部分を取得する人が異なるときは、それぞれの取得者について要件を判定します。店舗部分を継ぐ子が事業を引き継がない場合、その部分は特例の対象外になります
実務上の対応
併用住宅は、建物の図面と固定資産税の課税明細で床面積の内訳を確認するところから始まります。店舗部分の事業を誰がどのように続けるかによって税額が変わるため、分割の前に試算しておくことが大切です。無料相談でご相談ください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。