祖父が亡くなって3年後に父が亡くなるなど、10年以内に相続が続いた場合、前回の相続で納めた相続税の一部を今回の相続税から差し引けるのが相次相続控除です。制度の概要は別の記事で解説していますので、ここでは計算式の中身と数字での計算手順に絞って説明します。
計算式と各項目の意味
各相続人の控除額は、次の式で計算します。
A×C÷(B-A)×D÷C×(10-E)÷10
- A:今回の被相続人が前回の相続で納めた相続税額
- B:今回の被相続人が前回の相続で取得した財産の価額(債務控除後)
- C:今回の相続で相続人全員が取得した財産の合計額(債務控除後)
- D:その相続人が今回取得した財産の価額(債務控除後)
- E:前回の相続から今回の相続までの経過年数(1年未満切り捨て)
C÷(B-A)が1を超える場合は1として計算します。前回取得した財産(税引き後)より今回の財産が多いときは、前回の税額の全部が控除の計算のもとになるという意味です。
数字で計算してみる
次のケースで計算します。
- 父は祖父の相続(3年6か月前)で1億円の財産を取得し、相続税1,000万円を納めた
- 今回の父の相続で、相続人全員の取得財産は8,000万円
- 長男は4,000万円を取得
- 経過年数は3年(6か月は切り捨て)
- A×C÷(B-A):1,000万円×8,000万円÷(1億円-1,000万円)=1,000万円×0.8889=約888万9,000円
- ×D÷C:約888万9,000円×4,000万円÷8,000万円=約444万4,000円
- ×(10-E)÷10:約444万4,000円×7÷10=約311万1,000円
長男の相次相続控除額は約311万1,000円です。次男が同じく4,000万円を取得していれば、次男も同額を控除できます。
計算で間違えやすい点
- Bは前回の相続で取得した財産の価額で、相続税の課税価格(債務控除後)を使います。前回の申告書の第1表で確認します
- Aには、前回の相続で父が納めた税額のうち、延滞税や加算税は含めません
- Cは今回の相続で相続放棄した人や相続人以外の受遺者の取得分を含まない、相続人の取得財産の合計です
- 今回の相続人のうち、相続放棄した人は控除を受けられません
控除を受けるには、前回の相続税の申告書の控えが必要です。前回の相続から時間が経っていると書類が見つからないこともあるため、早めに探しておきましょう。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。