親子間の不動産売買で「著しく低い価額」だと贈与税|みなし贈与と時価の考え方

親子間で不動産を時価より著しく低い価格で売買すると、時価との差額が贈与とみなされ贈与税がかかります。時価は路線価ではなく実勢価格が原則で、個人間には明確な数値基準がありません。計算例と売る側の親にかかる譲渡所得税も解説します。

親から子へ不動産を「売る」形なら贈与税はかからない、と考える方がいます。しかし売買価格が時価より著しく低いと、差額は贈与とみなされ贈与税の対象になります(みなし贈与)。親子間売買で押さえるべき価格の考え方を解説します。

みなし贈与の仕組み

相続税法では、著しく低い価額で財産を譲り受けた場合、時価と対価の差額を贈与により取得したものとみなします。売買契約があっても、価格が低ければ差額に贈与税がかかります。

例:時価5,000万円の土地を子が2,000万円で買った場合 5,000万円−2,000万円=3,000万円が贈与とみなされ、贈与税は (3,000万円−110万円)×45%−265万円=1,035万5,000円 売買代金を払ったうえにこの贈与税では、本末転倒です。

「時価」と「著しく低い」の基準

ここでいう時価は、相続税評価額(路線価)ではなく、通常の取引価額(実勢価格)を指すのが原則です。路線価は実勢価格の8割程度を目安に設定されているため、路線価で親子間売買をすると「低い」とみられる余地があります。

「著しく低い」について、個人間の売買には法律上の明確な数値基準がありません。法人が絡む場合の「時価の2分の1未満」という基準は個人間には直接適用されず、個別の事情で判断されます。実務では、不動産業者の査定書や不動産鑑定評価書を取り、実勢価格に近い金額で売買するのが安全です。

売る側(親)の税金も忘れずに

売買にすると、親には譲渡所得税がかかります。取得費が不明な先祖代々の土地なら、売却額の5%が取得費とみなされ、課税額が大きくなります。また、親子間売買は金融機関の住宅ローンが使いにくく、子が自己資金で代金を払えないと「売買の実態がない」とされる恐れもあります。

贈与・相続との比較

  • 贈与: 贈与税は高いが、相続時精算課税を使えば2,500万円まで贈与時非課税
  • 売買: 贈与税は避けられるが、適正価格と資金の裏付けが必要。親に譲渡所得税
  • 相続: 税率が最も低く、登録免許税・不動産取得税も安い

どの方法が有利かは、財産の総額と目的によります。親子間売買を検討する前に、相続まで待った場合の税額と比較することをおすすめします。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

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