生前贈与は、実行したこと以上に「後から証明できること」が重要です。相続税の税務調査では、過去の贈与が本当に成立していたかが厳しく確認されます。贈与のたびに確認したい記録の残し方を、チェックリストにまとめました。
1. 契約の記録
- 贈与契約書を贈与のたびに作成した(贈与者・受贈者が自署、日付、金額、財産の特定)
- 受贈者が未成年なら、親権者が代わりに署名した
- 契約書は双方が1通ずつ保管している
- 「毎年〇万円を〇年間」という将来の約束を書いていない
契約書は公証役場で確定日付を取ると、作成日の証明力が高まります。
2. お金の流れの記録
- 贈与は現金手渡しではなく、贈与者の口座から受贈者の口座への振込で行った
- 振込先は受贈者が自分で開設し、通帳・キャッシュカード・印鑑を受贈者が管理している口座
- 届出印は贈与者と別のもの
- 受贈者がその口座から実際に使った形跡がある(生活費、保険料、投資など)
- 不動産・株式は名義変更(登記・口座移管)を完了している
受贈者が口座の存在を知らない、通帳を贈与者が持っている、という状態は名義預金とされる典型例です。
3. 申告・納税の記録
- 年110万円を超える贈与は、翌年3月15日までに受贈者が贈与税を申告した
- 贈与税は受贈者の資金から納付した(贈与者が払うとその分も贈与)
- 申告書の控えと納付の記録を保管している
- 相続時精算課税を選んだ年は選択届出書を提出した
- 特例(配偶者控除・住宅資金・精算課税)の添付書類を添えた
あえて110万円を少し超える贈与をして申告しておく方法は、記録として有効ですが、申告したこと自体が贈与の証明になるわけではありません。実態がともなうことが前提です。
4. 相続時に備えた整理
- 贈与の履歴(年・相手・金額・申告の有無)を一覧にしている
- 相続開始前7年以内の贈与が持ち戻しの対象になることを家族が理解している
- 贈与者が認知症になる前に、贈与を続けるかどうかの方針を決めている
よくある失敗は、子名義の口座に親が入金し続けて子は知らなかった(名義預金として相続財産)、契約書を後からまとめて作った(日付の信ぴょう性を疑われる)、贈与税を親が代わりに納めた(納税額分も贈与)の3つです。
贈与の記録が整っているかどうかで、相続税の調査の結果は大きく変わります。不安な点があれば無料相談で過去の贈与の整理をご相談ください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。