不動産や株式を多く持つ方の相続対策として、資産管理会社を設立して財産を法人に移す方法があります。相続財産を「会社の株式」に置き換え、収入を家族に分散させるのが基本の仕組みです。ただし、移転コストや効果が出るまでの時間を踏まえないと、かえって負担が増えることがあります。
仕組み
- 本人(または家族)が出資して会社を設立する
- 賃貸不動産などを会社に売却(または現物出資)し、以後の家賃収入は会社に入る
- 家族を役員にして役員報酬を払い、所得を分散する
- 本人が持つ財産は「会社の株式」や「売却代金」に変わり、株式を子に贈与・相続する
収入が会社に入るため、本人の手元に現金が蓄積しにくくなり、相続財産の増加を抑える効果があります。役員報酬を受け取った子は、その資金を納税資金として貯められます。
期待できる効果
- 所得分散: 家賃収入を複数の家族の給与にして、所得税の累進を緩和
- 株式での承継: 不動産を直接分けるより、株式なら持分を少しずつ贈与しやすい
- 株価の評価: 会社が持つ不動産は、取得から3年経過後は相続税評価額(路線価・固定資産税評価額)で純資産を計算するため、時価との差が株価に反映される
- 退職金: 本人が役員を退く際の退職金で相続財産を減らし、受け取る側は退職所得の優遇
注意点
- 移転時のコスト: 不動産を会社に売ると、本人に譲渡所得税、会社に登録免許税(2%)と不動産取得税(3〜4%)がかかります。土地は移さず建物だけを移す方法が取られることが多いです
- 3年以内の不動産は時価評価: 会社が取得して3年以内の不動産は株価計算上、時価で評価されるため、設立直後の相続では効果がありません
- 株式の評価: 会社の純資産が大きければ株価も高く、相続財産が単に不動産から株式に変わっただけになることがあります
- 維持コスト: 法人住民税の均等割(最低7万円程度)、税理士報酬、社会保険料の負担
- 役員報酬の妥当性: 働いていない家族への高額な報酬は、過大役員報酬として否認される可能性があります
向いているケース
年間の不動産収入が数千万円規模で、相続まで10年以上の期間が見込め、後継者となる家族が経営に関わる意思がある場合に効果が出やすい方法です。逆に、相続が近い、財産が自宅と預金中心、という場合は向きません。
法人化は一度始めると戻すのに再びコストがかかります。実行前に、法人化した場合としない場合の相続税・所得税の総額を比較してください。無料相談では個別の試算をお受けしています。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。