亡くなった年に被相続人から贈与を受けていた場合、その贈与には贈与税がかからず、相続税の計算に含めて申告します。贈与税の申告を別にする必要はありませんが、相続税の申告書での書き方や、相続財産を取得しなかった人の扱いなど、注意点があります。
仕組み:贈与税は非課税、相続税に加算
相続または遺贈で財産を取得した人が、その相続開始の年に被相続人から贈与を受けていた場合、その贈与財産は贈与税の課税価格に算入されません。代わりに、相続税の課税価格に加算されます。贈与時の価額で加算する点は、持ち戻しと同じです。
例:2026年2月に父から現金500万円の贈与を受け、同年9月に父が死亡。長男は相続で預金を取得
- 贈与税の申告: 不要(500万円は贈与税の対象外)
- 相続税の申告: 500万円を長男の課税価格に加算し、他の相続財産と合わせて計算
相続税申告書での書き方
相続税申告書の第14表(純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産価額の明細)に、贈与の年月日・財産の種類・価額を記載します。相続開始前7年以内の贈与と並べて書き、相続開始年の贈与であることが分かるようにします。贈与税を納めていないため、贈与税額控除はありません。
相続財産を取得しなかった人の場合
相続や遺贈で何も取得しなかった人への贈与は、相続税の計算に含めません。その場合は通常どおり贈与税の対象となり、翌年3月15日までに贈与税の申告が必要です。
例:孫(相続人でない)が祖父の死亡した年に300万円の贈与を受け、遺言も保険金もない場合 贈与税 (300万円−110万円)×10%=19万円 を孫が申告・納付
遺産分割で取得する財産がゼロになった相続人も、相続で財産を取得していないため贈与税の対象になります。分割の内容で税目が変わる点に注意してください。
配偶者控除を受ける贈与の例外
相続開始の年に配偶者が居住用不動産の贈与を受け、贈与税の配偶者控除の要件を満たす場合は、控除額(2,000万円まで)に相当する部分を相続財産に加算しないことができます。このときは、贈与税の申告書で配偶者控除を適用する旨を記載して提出する必要があります。相続税の申告だけで済ませると加算されてしまうため、両方の申告を行います。
亡くなった年の預金の動きは、税務署が最も注意して見る部分です。贈与の事実と金額を通帳や契約書で確認し、相続税申告に漏れなく反映させてください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。