「贈与税がこんなにかかるとは知らなかった」と贈与をなかったことにしても、原則として贈与税は戻りません。贈与税は贈与が成立した時点で課税関係が確定するためです。ただし、一定の条件で贈与がなかったものとして扱われる例外があります。
原則:合意で取り消しても課税は残る
贈与者と受贈者が話し合って贈与を解消し、財産を返しても(合意解除)、いったん成立した贈与に対する贈与税は原則そのままです。さらに、返還する行為が受贈者から贈与者への新たな贈与とみなされ、二重に贈与税がかかる可能性すらあります。
例外1:法律上の取消し・解除
詐欺や強迫による取消し、未成年者の法律行為の取消し、錯誤による取消しなど、法律の規定に基づいて贈与が取り消され、財産が返還された場合は、贈与はなかったものとして扱われます。申告済みなら更正の請求で還付を受けられます。
ただし「税金がかかると思わなかった」という動機の錯誤は、税負担の認識違いにすぎず、認められないのが一般的です。認められるのは、贈与の内容そのものに重要な錯誤があった場合に限られます。
例外2:申告前の返還で一定の要件を満たす場合
不動産の名義変更などが行われた後に合意解除で返した場合でも、次のような要件を満たせば贈与税を課さない取扱いがあります。
- 贈与税の申告や税務署の決定が行われる前に、財産が贈与者に戻されていること
- 受贈者がその財産を使用収益したり、売却や担保提供などの処分をしていないこと
- 返還が税務上の理由だけで行われたものでないなど、取扱い上の要件を満たすこと
この取扱いは税務署の判断を伴うため、該当しそうな場合は早い段階で相談が必要です。
実務上の対応
贈与を実行する前に、贈与税額・登録免許税・不動産取得税を計算し、納税資金を確保してから進めるのが大前提です。不動産の贈与登記を済ませてから気づくと、戻すにも登録免許税が再びかかります。贈与と相続時精算課税のどちらが有利かを含め、実行前に無料相談で確認してください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。