相続人同士の話し合いがまとまらないとき、家庭裁判所の遺産分割調停を利用します。裁判と違い、調停委員が間に入って合意を目指す手続きで、相続人は原則として別々の部屋で話をするため、顔を合わせずに済みます。調停は時間がかかるため、相続税の申告期限(10か月)との関係も押さえておく必要があります。
申立てから成立までの流れ
- 申立て:相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意した家庭裁判所に申立書を提出します。戸籍、遺産目録、不動産の登記事項証明書、預金の残高証明書などを添付します。
- 第1回期日:申立てから1〜2か月後に指定されます。調停委員2人(と裁判官)が双方から事情を聞きます。
- 期日の繰り返し:月1回程度のペースで期日が入り、遺産の範囲、評価、特別受益・寄与分、分け方の順に整理していきます。
- 成立または不成立:合意できれば調停調書が作られ、確定判決と同じ効力を持ちます。不成立なら自動的に審判に移行します。
期間は事案によりますが、1年前後かかることが多いとされ、不動産の評価や特別受益で争うとさらに長引きます。
費用
申立ての実費は、収入印紙1,200円と連絡用の郵便切手(数千円程度)です。このほか、不動産の鑑定が必要になれば鑑定費用、弁護士に依頼すれば着手金と報酬がかかります。弁護士費用は取得する遺産の額に応じて決まることが多く、事前に見積もりを取ることをおすすめします。
調停中に申告期限が来たら
調停が続いていても申告期限は延びません。期限までに分割が決まらなければ、各相続人が法定相続分で取得したものとして「未分割申告」を行い、いったん納税します。このとき、配偶者の税額軽減と小規模宅地等の特例は使えないため、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付しておきます。
調停が成立したら、成立日の翌日から4か月以内に更正の請求を行い、特例を適用して払いすぎた税金の還付を受けます。調停が3年以内に終わらない見込みのときは、3年経過後2か月以内に「やむを得ない事情がある旨の承認申請」を提出し、承認されれば調停成立後の適用が可能です。
調停中の実務上の注意
- 未分割申告は相続人全員が共同で行う必要はなく、各自が別々に提出できます。争っている相手と同じ税理士に依頼する必要もありません
- 納税資金が確保できないときは、預貯金の仮払い制度(金融機関ごと150万円まで)や延納を検討します
調停と申告は別の手続きですが、互いに影響します。無料相談では未分割申告と更正の請求の見通しをあわせてご案内しています。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。