「相続させる」遺言の登記・預金手続き|遺言執行者がいる場合といない場合

「相続させる」遺言があれば取得者は遺産分割協議なしで単独登記や預金の払戻しができますが、法定相続分を超える部分は登記しないと第三者に対抗できません。遺言執行者がいる場合の預金手続きの違いと、執行者を指定しておくべきケースを解説します。

「長男に自宅と〇〇銀行の預金を相続させる」という遺言がある場合、長男は他の相続人の協力なしに手続きを進められます。ただし、登記を急ぐべき理由や、遺言執行者の有無で変わる預金の手続きなど、知っておくべきポイントがあります。

不動産の登記

「相続させる」遺言で不動産を取得した相続人は、他の相続人の署名や印鑑証明書なしで、単独で相続登記を申請できます。必要なのは遺言書(自筆証書なら検認済証明書付き、または法務局の遺言書情報証明書)、被相続人の死亡の記載のある戸籍、取得者の戸籍と住民票、固定資産評価証明書などです。

急ぐべき理由は、2019年7月の民法改正で、法定相続分を超える部分については登記をしなければ第三者に対抗できなくなったことです。例えば他の相続人の債権者が、その相続人の法定相続分を差し押さえた場合、登記が先なら差押えが優先されます。遺言があるからと安心して登記を放置するのは危険です。2024年4月からは相続登記自体が義務となり、3年以内に行わないと過料の対象になります。

預金の払戻し

預金の払戻しは金融機関ごとに扱いが異なりますが、「相続させる」遺言があれば、取得者が単独で手続きできるのが原則です。遺言執行者が指定されている場合は、2019年7月以降、遺言執行者も預金の払戻しや解約を行う権限があることが明文化されました。

状況 手続きをする人
遺言執行者なし 取得者本人
遺言執行者あり 遺言執行者(取得者本人が行う場合は執行者の同意を確認する金融機関が多い)

実務上は、金融機関が遺言書の内容を確認し、遺言執行者がいれば執行者による手続きを求めるのが一般的です。執行者がいるのに取得者が勝手に進めると、やり直しになることがあります。

遺言執行者は必要か

相続人に「相続させる」だけの遺言なら、遺言執行者がいなくても取得者本人が手続きできます。それでも執行者を指定しておいた方がよいのは次のような場合です。

  • 相続人以外への遺贈が含まれる(登記や引渡しで相続人全員の協力が必要になる場面を避けられる)
  • 相続人間の関係が悪く、他の相続人が手続きを妨害するおそれがある
  • 取得者が高齢・遠方で手続きが難しい
  • 預金口座が多く、手続きを一人に集約したい

遺言執行者には相続人の一人や税理士・司法書士などの専門家を指定できます。相続税の申告は取得者各自の義務ですが、執行者が財産目録を作成していれば申告資料として非常に役立ちます。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

ご自身のケースではどうなるか、無料相談で確認できます。

初回相談は無料。ご契約まで費用はかかりません。相続税額の目安はシミュレーションでもその場で確認できます。

無料相談を予約する相続税シミュレーション

他の記事

← 記事一覧へ

電話で相談無料相談を予約