災害や事故で家族が同時に亡くなる、あるいは父の相続手続き中に母が亡くなる、といったケースでは、通常と異なる相続の考え方が必要になります。
同時死亡
死亡の前後が分からない場合、民法では同時に死亡したものと推定し、互いに相続しないものとします。たとえば夫婦が事故で同時に亡くなった場合、夫の財産は夫の相続人(子など)が、妻の財産は妻の相続人がそれぞれ相続し、夫と妻の間では相続が発生しません。子がいれば、父の相続と母の相続の2つの相続税申告が必要です。
ただし、同時死亡した人が受取人の生命保険は、その受取人の相続人が受け取ります。
数次相続(相続手続き中に次の相続が起きる)
父が亡くなり遺産分割が終わらないうちに母も亡くなった場合、母は父の相続人としての地位を持ったまま亡くなっているため、母の相続人(子)が母の立場も引き継いで父の遺産分割協議を行います。
相続税の申告では、
- 父の相続については、母が取得する分も含めて申告します(母の相続人が母の分の申告義務を引き継ぎます)
- 母の相続では、母の固有財産に加え、父の相続で母が取得した財産も含めて申告します
- 母が父の相続で納めた相続税は、母の相続で相次相続控除の対象になります
- 母の申告期限は、母の死亡を知った日の翌日から10か月です。父の申告期限が母の死亡より後に来る場合、父の相続についての母の申告期限は母の申告期限まで延長されます
分割の工夫
数次相続では、父の遺産を母に分けず直接子に分けることもできます(母の相続の申告で課税される財産を減らせます)。ただし配偶者の税額軽減との兼ね合いがあり、2つの相続を通じた試算が必要です。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。