契約者(保険料負担者)が亡くなった方で、被保険者が配偶者や子という保険契約は、本人の死亡で保険金が支払われるわけではありません。この契約は**「生命保険契約に関する権利」**として相続財産に計上します。この記事では評価額の計算方法に絞って解説します。
評価の計算式
評価額 = 解約返戻金相当額 + 前納保険料の未経過分 + 剰余金の分配額 - 源泉徴収されるべき所得税の額
相続開始の時点でその契約を解約したとすれば受け取れる金額が基本で、そこに次の調整を加えます。
- 前納保険料:数年分の保険料をまとめて前払いしている場合、まだ保険期間が来ていない分は解約時に返還されるため加算します
- 剰余金の分配額:解約時に受け取れる配当金(積立配当)を加算します
- 源泉徴収されるべき所得税:一時払養老保険など、解約時の差益に源泉分離課税(20.315%)がかかる契約では、その税額相当を差し引きます
計算例
契約者が亡くなった父、被保険者が母、保険の種類は終身保険で、相続開始日時点の解約返戻金が800万円、前納保険料の未経過分が30万円、積立配当金が10万円、源泉徴収される税額はないものとします。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 解約返戻金相当額 | 800万円 |
| 前納保険料の未経過分 | +30万円 |
| 剰余金の分配額 | +10万円 |
| 源泉徴収されるべき所得税 | △0円 |
| 評価額 | 840万円 |
この840万円は本来の相続財産なので、死亡保険金の非課税枠は使えません。遺産分割の対象になり、誰がこの契約を引き継ぐかを協議書に記載します。
証明書の取り方と注意点
- 保険会社に「相続税申告用の解約返戻金証明書」を請求します。相続開始日(死亡日)時点の額で発行してもらうことが重要で、請求日時点の額では評価できません
- 契約者が亡くなった方でなくても、保険料を実質的に負担していたのが亡くなった方であれば、その負担割合に応じた部分を評価する必要があります(いわゆる名義保険)
- 解約返戻金のない掛け捨ての定期保険や医療保険は、評価額ゼロのことが多いですが、前納保険料があれば加算します
- 保険会社は契約者の死亡による名義変更時に税務署へ支払調書を提出しているため、申告漏れは把握されやすい項目です
通帳の保険料引落しを一件ずつ確認し、「被保険者が家族の契約」を漏れなく拾い上げることが評価の第一歩です。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。