年金で受け取る権利(年金受給権)を相続した場合、相続税の評価は年金の種類によって計算方法が変わります。確定年金・終身年金・保証期間付終身年金の3つについて、計算の考え方と途中式を示します。
共通の考え方:3つの額のうち最も多いもの
年金受給権は「定期金に関する権利」として、次の3つのうち最も多い金額で評価します。
- 解約返戻金相当額
- 一時金で受け取れる場合の一時金の額
- 年金の年額をもとに計算した額(種類ごとに計算が異なる)
3の計算に使うのが「複利年金現価率」で、契約の予定利率と年数から求めます。予定利率1%・10年なら約9.47、1%・20年なら約18.05です(率は国税庁の表で確認します)。
種類ごとの計算例(年額100万円、予定利率1%)
確定年金(残り10年):受取人が亡くなっても遺族が残り期間を受け取れる年金です。残存期間で計算します。
100万円 × 9.47 = 約947万円
終身年金(受取人が75歳の女性):受取人が生きている限り受け取れる年金で、受取人の平均余命年数(厚生労働省の簡易生命表による)に応じた複利年金現価率を使います。75歳女性の平均余命を仮に16年とすれば、1%・16年の現価率は約14.72なので、
100万円 × 14.72 = 約1,472万円
保証期間付終身年金(保証期間の残り10年、受取人75歳):保証期間中は生死に関係なく支給され、その後は生きている限り続く年金です。確定年金として計算した額と終身年金として計算した額のいずれか多い方を採用します。この例では947万円と1,472万円を比べ、1,472万円です。
| 種類 | 計算のもと | 例の評価額 |
|---|---|---|
| 確定年金 | 残存期間 | 約947万円 |
| 終身年金 | 受取人の余命年数 | 約1,472万円 |
| 保証期間付終身 | 両方の多い方 | 約1,472万円 |
この額と解約返戻金相当額・一時金の額を比べ、最も多いものが最終的な評価額です。
実務上の注意点
- 終身年金で評価する場合の余命年数は、相続開始時の受取人の年齢で判定します
- 予定利率は契約ごとに違い、利率が高いほど現価率は小さく(評価額は低く)なります
- 保険会社に「相続税評価額の証明書」を依頼すれば、3つの額が記載された書類を発行してもらえるのが一般的です
- 評価額が死亡保険金として扱われる契約(被保険者の死亡で年金が始まる契約)では、非課税枠(500万円×法定相続人の数)の対象になります
評価額が大きくなる終身年金では、一時金に変更した場合の額とも比較して、受取方法を決めることが実務上の対応になります。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。