自営業者やフリーランスなど国民年金の第1号被保険者だった方が、老齢基礎年金を受け取る前に亡くなった場合、遺族は死亡一時金または寡婦年金を受け取れることがあります。どちらも国民年金法に基づく給付で、相続税・所得税ともに非課税です。
死亡一時金
第1号被保険者として保険料を納めた期間(免除期間は一部換算)が36か月以上ある方が、老齢基礎年金・障害基礎年金のどちらも受けずに亡くなった場合に、生計を同じくしていた遺族(配偶者→子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹の順)に支給されます。
金額は保険料を納めた月数に応じて定められており、2026年時点では12万円から32万円の範囲です(付加保険料を3年以上納めていた場合は8,500円が加算)。遺族基礎年金を受け取れる遺族がいる場合は支給されません。
請求先は市区町村の年金窓口または年金事務所で、請求期限は死亡日の翌日から2年とされています。期限が短いため早めの手続きが必要です。
寡婦年金
亡くなった夫が第1号被保険者として保険料を納めた期間(免除期間を含む)が10年以上あり、婚姻期間が10年以上の妻に対して、60歳から65歳になるまで支給されます。年金額は、夫が受け取れるはずだった老齢基礎年金の4分の3です。夫が老齢基礎年金や障害基礎年金を受けていた場合は支給されません。
どちらか一方しか受け取れない
| 項目 | 死亡一時金 | 寡婦年金 |
|---|---|---|
| 受け取る人 | 生計同一の遺族(配偶者が最優先) | 婚姻10年以上の妻 |
| 形 | 一回限りの一時金 | 60〜65歳の間の年金 |
| 請求期限 | 2年 | 5年 |
| 課税 | 非課税 | 非課税 |
両方の要件を満たす妻は、どちらか一方を選択します。一般に、65歳までの受給期間が長ければ寡婦年金の総額が死亡一時金を上回ることが多いですが、妻がすでに自分の老齢基礎年金を繰上げ受給している場合は寡婦年金を受け取れないなど、条件によって有利な方が変わります。年金事務所で試算してもらったうえで決めてください。
相続税の申告との関係
どちらも遺族固有の給付で、亡くなった方の財産ではないため、相続税の申告書に記載する必要はありません。相続放棄をしていても受け取れます。ただし、亡くなった方が**生前に受け取るはずだった年金で未払いのもの(未支給年金)**は別の制度で、請求する遺族の一時所得になります。混同しやすいので区別して整理してください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。