死亡保険金を年金形式で受け取る場合の相続税評価と所得税の考え方

死亡保険金を一時金でなく年金で受け取る契約では、相続税は年金受給権を「定期金に関する権利」として評価し、各年の年金は相続税の対象になった部分を除いて雑所得になります。評価方法と二重課税を避ける仕組みを解説します。

収入保障保険や年金払特約付きの生命保険では、死亡保険金を一時金ではなく毎年の年金として受け取ることがあります。この場合、相続税と所得税の両方が関係し、計算の仕組みが一時金受取とは異なります。

相続税は「年金受給権」を評価する

年金で受け取る権利は、相続税では「定期金に関する権利」として評価します。受け取る期間が決まっている有期の年金では、次の3つのうち最も多い金額が評価額です。

  1. 相続開始時に解約したとすれば受け取れる解約返戻金の額
  2. 年金の代わりに一時金で受け取れる場合の一時金の額
  3. 年金の年額×残りの期間に応じた複利年金現価率(契約の予定利率で計算)

たとえば年額100万円を10年受け取る契約で、予定利率1%の場合、複利年金現価率は約9.47なので、3の金額は100万円×9.47=約947万円です。一時金で受け取れる額が950万円なら、評価額は950万円になります。この評価額が、生命保険金として非課税枠(500万円×法定相続人の数)の対象になります。

各年の年金には所得税がかかるが、二重課税は調整される

相続税の対象になった年金受給権について、受け取る年金に全額所得税をかけると二重課税になります。そのため、相続税の評価額に相当する部分は所得税が非課税とされ、それを超える運用益に相当する部分だけが雑所得になります。

実務では、年金の総額と相続税評価額の差(課税部分)を受取期間に配分し、初年度は全額非課税、2年目以降は段階的に課税部分が増える計算になります。保険会社が年ごとの「課税対象額」を計算して通知してくれるのが一般的なので、確定申告はその書類をもとに行います。

一時金に変更できる契約もある

年金受取は、受取人の生活費を計画的に確保できる反面、評価や申告がやや複雑です。契約によっては年金開始前に一時金への変更が可能なため、相続税の非課税枠の範囲、受取人の生活設計、所得税の負担を見比べて決めるとよいでしょう。評価の計算や予定利率は契約ごとに違うため、保険会社に「相続税評価のための証明書」を依頼するのが確実です。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

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