個人事業主や小さな会社の役員が「自分の退職金代わり」に積み立てる小規模企業共済は、加入者が亡くなると遺族に死亡共済金が支払われます。このお金は相続税の上では死亡退職金と同じ扱いで、受け取る人の順位は法律で決まっています。
相続税では「退職手当金等」として扱う
小規模企業共済の死亡共済金は、相続税法上、被相続人の死亡によって支給される退職手当金等とみなされ、相続税の対象です。受け取るのが相続人であれば500万円×法定相続人の数の非課税枠が使えます。会社から別に死亡退職金が出ている場合は、合算して1つの非課税枠を適用します。
たとえば法定相続人が配偶者と子2人で、死亡共済金が900万円、会社からの死亡退職金が1,000万円なら、合計1,900万円から非課税枠1,500万円を引いた400万円が課税対象です。
所得税はかかりません。加入者本人が生前に受け取る共済金は退職所得や一時所得ですが、死亡共済金は相続税の対象なので、受け取った遺族が確定申告をする必要はありません。
受給権者の順位は法律で決まっている
死亡共済金の受取人は加入者が指定するものではなく、小規模企業共済法で順位が定められています。おおまかには次の順です。
- 配偶者(内縁の配偶者を含む)
- 加入者の収入で生計を維持していた子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹
- その他の子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹
- 生計を維持していた上記以外の親族
同じ順位の人が複数いる場合は、その人数で等分して受け取ります。民法の相続順位とは異なり、たとえば配偶者がいれば子は受け取れません。内縁の配偶者が最優先になる点も特徴です。
受給権者の権利は法律で定められた固有の権利なので、死亡共済金は遺産分割の対象外です。ただし、相続税の非課税枠は相続人が受け取る場合に限られるため、内縁の配偶者が受け取ったときは全額が課税対象で、2割加算もあります。
請求の手続きと注意点
- 請求先は中小企業基盤整備機構で、共済契約者の死亡が分かる戸籍、受給権者であることを示す書類、生計維持を示す書類などが必要です
- 共済金の請求権には時効があるとされています。亡くなった後は早めに請求してください
- 掛金の納付月数が短い場合は共済金が掛金を下回ることがあります
- 加入の有無が分からないときは、確定申告書の「小規模企業共済等掛金控除」の欄や通帳の引落しで確認できます
個人事業主の相続は、事業用資産や共済など会社員の相続にはない項目が多くなります。財産の洗い出しの段階で一度ご相談ください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。