分譲マンションの相続税評価(2024年〜)|評価乖離率と区分所有補正率の計算例

2024年1月以降の相続では、区分所有マンションの評価に評価乖離率と区分所有補正率が導入されました。築年数・総階数・所在階・敷地持分狭小度の4要素から計算する手順と、評価水準0.6未満なら増額される仕組みを計算例で解説します。

2024年1月1日以後の相続・贈与から、分譲マンション(区分所有建物の一室)の相続税評価に新しいルールが適用されています。従来の評価額が市場価格と大きく乖離している場合に、その乖離を縮める補正を行う仕組みです。タワーマンションの高層階などでは評価額が従来の1.5倍以上になることもあります。

計算の流れ

  1. 従来どおりの方法で、建物部分と敷地利用権部分の評価額を計算する
  2. 次の4要素から「評価乖離率」を計算する
  3. 評価乖離率の逆数である「評価水準」を求め、区分所有補正率を決める
  4. 従来の評価額に区分所有補正率を掛ける

評価乖離率の計算式

評価乖離率 = A × (−0.033)+ B × 0.239 + C × 0.018 + D × (−1.195)+ 3.220

  • A:築年数(1年未満は切り上げ)
  • B:総階数指数(建物の総階数 ÷ 33。1を超えるときは1)
  • C:所在階(地階は0)
  • D:敷地持分狭小度(敷地利用権の面積 ÷ 専有面積)

築年数が浅く、総階数が高く、所在階が高く、敷地持分が小さいほど、評価乖離率は大きくなります。

区分所有補正率の決まり方

評価水準 = 1 ÷ 評価乖離率 として、

評価水準 区分所有補正率
0.6未満 評価乖離率 × 0.6(増額)
0.6以上1以下 補正なし
1超 評価乖離率(減額)

従来の評価額が市場価格の6割を下回ると見込まれる場合に、6割の水準まで引き上げる仕組みです。

計算例

築10年、総階数20階、10階部分、敷地利用権の面積15㎡、専有面積70㎡、従来の評価額(建物+敷地)が2,500万円のマンション。

  1. A = 10、B = 20 ÷ 33 = 0.606、C = 10、D = 15 ÷ 70 = 0.214
  2. 評価乖離率 = 10 × (−0.033)+ 0.606 × 0.239 + 10 × 0.018 + 0.214 × (−1.195)+ 3.220 = −0.330 + 0.145 + 0.180 − 0.256 + 3.220 = 2.959
  3. 評価水準 = 1 ÷ 2.959 = 0.338 → 0.6未満
  4. 区分所有補正率 = 2.959 × 0.6 = 1.775
  5. 評価額 = 2,500万円 × 1.775 = 約4,438万円

従来より1,900万円以上評価が上がる計算です。

対象外となるもの・注意点

地階を除く総階数が2以下の建物、一棟の部屋数が3以下ですべて親族が住んでいる建物(二世帯住宅など)、事業用のテナント物件、一棟全体を所有している賃貸マンションは対象外です。また、補正後の評価額に対して貸家・貸家建付地の減額や小規模宅地等の特例を適用できる点は従来と同じです。登記事項証明書で総階数・専有面積・敷地権割合を確認し、国税庁の計算シートで計算してください。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

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