国際結婚で生まれた子や、海外で生まれた子が相続人になるとき、日本の相続手続きで当たり前に使う「戸籍」がない、あるいは記載が不完全なことがあります。相続人が確定しなければ遺産分割協議も相続税の申告もできません。本記事では、戸籍に頼れない相続人の証明方法を整理します。
相続人としての地位は変わらない
まず前提として、子の国籍が外国であっても、相続人としての権利は日本国籍の子と同じです。日本人の父が亡くなれば、日本法により子は第1順位の相続人になり、法定相続分も国籍で差が付くことはありません。相続税の計算でも、法定相続人の数に含めて基礎控除を計算します。
戸籍で確認できる場合とできない場合
- 日本人の親と外国人の親の間に生まれた子で、出生後3か月以内に日本の在外公館や市区町村に出生届を出していれば、日本人の親の戸籍に記載があります
- 海外で生まれ、出生届を出さず日本国籍の留保をしなかった子は、日本国籍を失っており、戸籍にも記載がありません
- 外国籍の親の連れ子を養子にした場合は、養子縁組の届出で戸籍に記載されます
戸籍に記載がない子は、親子関係を別の書類で証明する必要があります。
戸籍の代わりになる書類
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 出生証明書(Birth Certificate) | 出生国の政府機関が発行。父母の氏名の記載があるもの |
| 婚姻証明書 | 父母の婚姻の事実を示す |
| 宣誓供述書(Affidavit) | 相続人が「自分が被相続人の子であり、ほかに相続人がいない」などを宣誓し、現地の公証人や在外公館が認証したもの |
| 翻訳文 | 日本語訳。翻訳者の氏名を記載する |
遺産分割協議書への署名は、印鑑証明の代わりに在外公館の署名証明や現地公証人の認証で行います。金融機関や法務局によって求める書類が異なるため、手続き先ごとに事前確認が欠かせません。
相続税申告での扱い
相続税申告には、相続人全員を明らかにする戸籍(または法定相続情報一覧図)の添付が必要です。戸籍で確認できない相続人がいる場合は、上記の証明書類を添付して相続関係を説明します。法定相続情報一覧図は、相続人に外国籍の人がいると作成できない場合があるため、戸籍と証明書類をそのまま添付することになります。
相続人の確定に時間がかかると申告期限(10か月)が迫ります。「海外に子がいるかもしれない」という状況なら、戸籍の収集と並行して早めに証明書類の取り寄せを始めてください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。