遺産分割協議書を作って申告を終えた後に、把握していなかった定期預金が見つかった。あるいは協議書の地番が間違っていて登記が通らない。こうしたときに協議書をどう直すのか、分割のやり直しと何が違うのかを解説します。
誤記の訂正と内容の変更は別物
協議書の修正は、性質によって対応が異なります。
| 修正の内容 | 方法 | 税務上の影響 |
|---|---|---|
| 地番・口座番号・氏名の誤記 | 訂正印(相続人全員の実印)または作り直し | なし |
| 一部の財産の記載漏れ | その財産についての追加協議書 | 修正申告 |
| 取得者の変更(AからBへ) | 分割のやり直し | 贈与税の対象になる可能性 |
誤記の訂正は、該当箇所を二重線で消して正しい内容を書き、相続人全員が実印で訂正印を押します。登記や金融機関の手続きでは訂正の形式に細かい要求があるため、訂正箇所が多いなら作り直すほうが確実です。
取得者を変える「やり直し」は、いったん有効に成立した分割を変更するものなので、税務上は相続人間の贈与や譲渡として扱われるのが原則です。これに対し、記載漏れの財産についての追加協議は、まだ分けていない財産を初めて分割するものなので、贈与の問題は生じません。
新しい財産が見つかったときの手順
- 見つかった財産の内容と相続開始時の評価額を確認する(残高証明書、登記事項証明書など)
- 相続人全員で、その財産の取得者を決める
- 「被相続人〇〇の遺産のうち、令和〇年〇月〇日付遺産分割協議書に記載のない下記の財産について、次のとおり分割する」として、追加の協議書を作成し、全員が署名・実印押印し、印鑑証明書を添付する
- 申告済みなら修正申告をする。相続税の総額が変わるため、他の相続人の税額も変わることがある
- 過少申告加算税は、税務署から指摘される前に自主的に修正申告すれば原則かからない(延滞税はかかる)
見つかった財産が多額で、当初の分割の前提が崩れる場合は、全体をやり直すことも検討されますが、その場合は贈与税のリスクを慎重に検討する必要があります。
追加協議を省くための条項
最初の協議書に、「本協議書に記載のない財産および後日判明した財産は、相続人〇〇が取得する」という条項を入れておくと、小さな財産が見つかっても追加協議なしで処理できます。ただし、多額の財産が見つかったときに一人が総取りすることになるため、「後日判明した財産は相続人全員で協議して定める」とする、あるいは「〇〇万円以下の財産は〇〇が取得し、それを超える場合は別途協議する」と線引きをする書き方もあります。
協議書の作り方を含めて無料相談でご相談ください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。