亡くなった父に、家族が知らない婚外子がいた。戸籍を集める過程でこうした事実が判明することがあります。認知された子は実子として相続人になり、相続税の計算も変わります。この記事では相続分のルールと申告への影響を解説します。
婚外子の相続分は嫡出子と同じ
かつて民法には「嫡出でない子の相続分は嫡出子の2分の1」という規定がありました。2013年9月の最高裁決定でこの規定は違憲とされ、同年12月の改正で削除されました。現在は婚姻関係の有無にかかわらず、父に認知された子は他の子と同じ相続分を持ちます。
例えば相続人が妻、嫡出子2人、認知された子1人なら、法定相続分は妻2分の1、子は3人で残りを分けて各6分の1です。基礎控除も3,000万円+600万円×4人=5,400万円となり、認知された子がいなかった場合より600万円増えます。生命保険金の非課税枠も500万円増えます。
ただし、認知されていない子には相続権がありません。「父の子であることは事実」でも、戸籍上の認知がなければ相続人として扱えないのが原則です。
認知の方法と死後認知
認知には次の方法があります。
- 生前の認知届: 父が市区町村に届け出る。母と子に異論があっても成立する
- 遺言による認知: 遺言執行者が就任後10日以内に認知届を出す
- 死後認知の訴え: 父の死亡後3年以内に、子(または法定代理人)が検察官を相手に家庭裁判所へ訴える。DNA鑑定が決め手になることが多い
死後認知の訴えは父の死亡を知った時からではなく、死亡の日から3年以内です。相続税の申告期限(10か月)より長いため、申告後に認知が確定するケースがあります。
遺産分割後に認知された子が現れたら
すでに遺産分割や遺贈が終わった後に認知が確定した場合、認知された子は分割のやり直しを求めることはできず、他の相続人に対して自分の相続分に相当する金銭の支払いを請求できます(民法910条)。相続税の手続きは次のとおりです。
- 認知された子は、相続財産を取得したものとして相続税の申告をする(期限は認知の確定を知った日の翌日から10か月が目安)
- 金銭を支払った相続人は、確定を知った日の翌日から4か月以内に更正の請求をして払いすぎた税金の還付を受ける
- 相続人の数が増えたことで基礎控除が変わり、全員の税額が計算し直しになる
認知された子は一親等の血族なので2割加算の対象にはなりません。戸籍で婚外子の存在に気づいたら、連絡を取る前に手順を整理しておくことをおすすめします。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。