特定遺贈と包括遺贈の違い|債務の承継・放棄の期限・相続税と不動産取得税の扱い

「自宅を甥に」と財産を指定するのが特定遺贈、「遺産の3分の1を甥に」と割合で指定するのが包括遺贈です。包括受遺者は相続人と同じ立場になり、債務も引き継ぎ、放棄は3か月以内に家庭裁判所で行います。相続税や不動産取得税の違いも含めて比較します。

遺言で相続人以外の人に財産を渡す「遺贈」には2つの型があり、どちらで書かれているかによって受け取る側の立場が大きく変わります。この記事では特定遺贈と包括遺贈の違いを、法律・手続き・税金の3つの面で整理します。

法律上の立場の違い

項目 特定遺贈 包括遺贈
書き方の例 「〇〇市の土地を甥Aに遺贈する」 「遺産の3分の1を甥Aに遺贈する」
債務の承継 引き継がない(負担付でない限り) 割合に応じて引き継ぐ
遺産分割協議 参加しない 相続人と一緒に参加する
放棄の方法 いつでも、相続人や執行者への意思表示で可 知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述
遺贈の対象が消滅していた場合 その遺贈は無効 残った遺産の割合で取得

包括受遺者は「相続人と同一の権利義務を有する」(民法990条)とされ、プラスの財産だけでなく借金も割合に応じて負います。遺言者に借入があるときに包括遺贈を受けると、思わぬ債務を負うことがあります。放棄するなら相続放棄と同じ3か月の期限内に家庭裁判所へ申述が必要です。

また包括受遺者は遺産分割協議の当事者になるため、相続人との話し合いが必要で、まとまらなければ調停に進みます。特定遺贈なら協議を経ずに、遺言執行者や相続人から財産の引き渡しを受けられます。

相続税の扱い

どちらの遺贈でも、受遺者は財産を取得した人として相続税の申告義務を負います。主な違いは次の点です。

  • 債務控除: 包括受遺者は承継した債務と負担した葬式費用を控除できる。特定受遺者は原則として控除できない
  • 2割加算: 受遺者が配偶者・一親等の血族でなければ、どちらでも2割加算
  • 基礎控除: 法定相続人の数で決まるため、受遺者の存在で増減しない
  • 生命保険金の非課税枠: 相続人ではないため、どちらの受遺者も使えない

不動産取得税と登録免許税

不動産を遺贈で受け取る場合、包括遺贈は相続と同様に扱われて不動産取得税が非課税ですが、相続人以外への特定遺贈は課税されます。登録免許税は、受遺者が相続人なら0.4%、相続人以外なら2%で、特定・包括の別は問いません。

例えば固定資産税評価額2,000万円の土地を甥に渡す場合、特定遺贈なら不動産取得税(軽減後3%なら60万円程度)がかかりますが、包括遺贈なら非課税です。一方で包括遺贈には債務の承継と協議への参加という負担が伴います。渡す財産が不動産だけで債務がないなら、遺言の書き方を工夫する余地があります。税率は最新の情報を確認してください。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

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