障害者控除は相続後に手帳を取得しても使える?|申告期限までの申請と要介護認定との違い

障害者控除は相続開始時に障害者であることが要件ですが、手帳の交付が相続後でも申告時までに交付または申請中で医師の診断書があれば適用できる扱いがあります。要介護認定だけでは使えない点と計算例も解説します。

障害者控除は、85歳までの年数×10万円(特別障害者は20万円)という大きな控除です。ところが、相続の時点で障害者手帳を持っていなかったために「使えない」と諦めてしまうケースがあります。実は、相続後に手帳を取得した場合でも、一定の条件を満たせば相続開始時に障害者だったものとして控除を受けられる扱いがあります。

原則:相続開始時に障害者であること

障害者控除の対象は、相続開始の時点で障害者に該当する相続人です。障害者の範囲は、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳の交付を受けている人、精神上の障害で常に自分の行為の結果を判断できない状態にある人、65歳以上で市町村長から障害者に準ずると認定された人などです。

相続後に手帳を取得した場合の扱い

手帳の交付は申請から数か月かかることがあり、相続開始の時点で手帳を持っていないことは珍しくありません。この場合でも、次の両方を満たせば相続開始時に障害者だったものとして扱われます。

  1. 相続税の申告書を提出する時までに手帳の交付を受けている、または交付を申請中で後に交付される
  2. 医師の診断書などにより、相続開始時に手帳の交付を受けられる程度の障害があったと認められる

つまり、相続開始後に手帳を申請し、申告までに交付されれば控除を受けられる可能性があります。申請が間に合わず、申告後に交付された場合は、相続開始時の障害の状態を示す診断書があれば更正の請求を検討する余地があります。

要介護認定だけでは対象にならない

介護保険の要介護認定と障害者控除は別の制度です。要介護5であっても、それだけでは相続税の障害者控除の対象になりません。ただし、65歳以上で市町村長から「障害者控除対象者認定」を受けていれば対象になります。この認定は所得税の障害者控除のために市町村が行っているもので、要介護認定を受けている人が申請すると認定されることが多くあります。

状況 障害者控除
障害者手帳あり 対象
要介護認定のみ 対象外
要介護認定+市町村の障害者控除対象者認定 対象
認知症で成年後見開始 特別障害者として対象になる可能性

計算例

相続開始時に60歳3か月の一般障害者の場合、85歳までの年数は24年9か月で、1年未満は切り上げて25年です。

  • 控除額:10万円×25年=250万円

特別障害者なら20万円×25年=500万円です。控除しきれない分は扶養義務者の税額から差し引けます。

実務上の対応

相続人に高齢で要介護の方がいる場合、市町村の認定を申告期限までに受けられるか早めに確認することが大切です。申告期限の直前では間に合わないことがあるため、相続が発生したら最初に確認する項目の一つにしてください。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

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