自宅の土地を長男と次男で2分の1ずつ共有するなど、複数の相続人が共有で取得することがあります。この場合、小規模宅地等の特例は「人ごと」に判定します。要件を満たす人の持分には適用され、満たさない人の持分には適用されません。土地全体で判定されるわけではない点が重要です。
共有の場合の基本ルール
共有で取得した土地は、各人の持分に応じて面積と評価額を分けます。
- 土地300㎡、評価額6,000万円を長男と次男で2分の1ずつ取得
- 長男の持分:150㎡、3,000万円
- 次男の持分:150㎡、3,000万円
長男が同居していて要件を満たし、次男は別居で持ち家があり家なき子にもならない場合、特例を受けられるのは長男の150㎡だけです。
- 長男の減額:150㎡×(3,000万円÷150㎡)×80%=2,400万円
- 次男の減額:0円
土地全体の評価6,000万円に対して減額は2,400万円となり、同居の長男が単独で取得した場合の減額(300㎡で4,800万円)の半分になります。
限度面積の数え方
共有の場合、各人が適用を受ける面積の合計が限度面積に収まればよいことになります。上の例で長男と次男の両方が要件を満たしていれば、150㎡+150㎡=300㎡≦330㎡で、全部に特例が使えます。
土地が400㎡で両者が200㎡ずつ取得し、両方が要件を満たす場合は、合計400㎡のうち330㎡まで適用できます。どちらの持分にどれだけ割り当てるかは選択でき、税率の高い人(取得財産が多い人)に多く割り当てた方が有利になる傾向があります。
共有にするときの注意
共有は特例の面では「要件を満たす人の持分だけ減額」という結果になるため、要件を満たさない人を共有者に加えると減額が減ります。分割の公平のために共有にしたい場合は、次のような代替案があります。
- 要件を満たす人が土地を単独で取得し、他の相続人には代償金を支払う
- 土地以外の財産で調整する
- 配偶者が取得し、二次相続で改めて考える
また、共有にした後に売却や建て替えをするときは共有者全員の同意が必要になり、将来の意思決定が難しくなります。
実務上の対応
共有取得の特例計算は持分の按分と限度面積の配分が絡み、パターンによって税額が変わります。分割案を決める前に、各案の税額を比較することをおすすめします。無料相談で試算いたします。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。