法人からもらう・法人にあげるときの税金|贈与税ではなく所得税・法人税になる理由

法人から個人への贈与は贈与税ではなく所得税(給与または一時所得)、個人から法人への贈与は個人に時価で売ったとみなす譲渡所得税と法人の受贈益課税が生じます。同族会社では株主へのみなし贈与も問題になります。計算例と実務上の対応を解説します。

贈与税は「個人から個人へ」の贈与にかかる税金です。相手が法人のときは贈与税ではなく、所得税や法人税の世界になります。経営者の家族が会社から財産を受け取る場合や、個人の不動産を会社に移す場合に押さえておきたいルールです。

法人から個人への贈与:所得税

会社が個人に無償で財産を渡した場合、受け取った個人には所得税がかかります。

  • 役員や従業員が受け取る → 給与所得(役員なら役員賞与として会社側は損金不算入)
  • それ以外の個人が受け取る → 一時所得(50万円の特別控除後、2分の1が課税対象)

会社側は、渡した財産を時価で譲渡したものとして益金に計上し、相手に応じて給与や寄附金として処理します。寄附金は損金算入に限度があるため、会社にも法人税の負担が生じます。

例:会社が時価1,000万円の土地(帳簿価額300万円)を役員の子(従業員ではない)に無償で渡した場合

  • 会社: 譲渡益700万円を計上、1,000万円は寄附金(限度超過分は損金不算入)
  • 子: 一時所得 (1,000万円−50万円)×1/2=475万円が他の所得と合算して課税

個人から法人への贈与:みなし譲渡と受贈益

個人が法人に財産を無償または時価の2分の1未満で譲渡すると、個人は時価で売ったものとみなされ、含み益に譲渡所得税がかかります(みなし譲渡課税)。お金を受け取っていないのに税金だけ発生するため、注意が必要です。

法人側は、時価との差額を受贈益として益金に計上し、法人税の対象になります。

例:個人が時価5,000万円(取得費1,000万円)の土地を自分の会社に贈与

  • 個人: 譲渡所得 5,000万円−1,000万円=4,000万円に課税(長期譲渡なら約20%)
  • 法人: 受贈益5,000万円に法人税

同族会社では株主への「みなし贈与」も

個人が同族会社に財産を贈与して会社の株価が上がると、他の株主(例えば子)が得た株価の増加分は、贈与者から株主への贈与とみなされて贈与税の対象になります。会社を通せば贈与税を避けられるわけではありません。

実務上の対応

  • 法人と個人の間の財産移転は、原則として時価での売買にする
  • 時価は不動産鑑定や株価算定で裏付けを取る
  • 相続対策で資産管理会社に財産を移すときは、譲渡所得税・登録免許税・不動産取得税を含めた総コストで判断する

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

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