会社や事業の顧問税理士がいる方から「相続税の申告もそのまま頼んでよいか」というご相談をよく受けます。結論は、顧問税理士が相続税申告に慣れていれば問題ありません。被相続人の財産や会社の状況を把握している強みもあります。ただし、相続税は法人税や所得税とは別の分野なので、頼む前に確認したいことがあります。
顧問税理士に頼む利点
- 会社の決算書や株主の構成を把握しているため、非上場株式(自社株)の評価に必要な資料がそろっている
- 被相続人の所得や貸付金・借入金の状況を知っており、財産の洗い出しが早い
- 準確定申告(亡くなった年の所得税の申告)や会社の役員変更の手続きとあわせて進められる
- 長年の信頼関係があり、家族の事情を説明しやすい
確認したいこと
一方で、相続税申告は年間の件数が少ない事務所も多く、土地評価や特例の判断は経験で差が出ます。次の点を聞いてみてください。
| 確認項目 | 確認する理由 |
|---|---|
| 相続税申告の年間件数 | 件数が多いほど評価や特例の経験が蓄積される |
| 土地評価の進め方 | 現地・役所の調査をするか、減額の補正を検討するか |
| 小規模宅地等の特例の判定 | 自宅・事業用・貸付用の要件を正確に判定できるか |
| 二次相続の試算 | 配偶者の税額軽減と次の相続の税額をあわせて試算するか |
| 書面添付・調査対応 | 税理士法33条の2の書面添付と調査の立会いができるか |
| 報酬 | 相続税申告の報酬規程があるか、総額はいくらか |
「相続は年に1〜2件」「土地は路線価に面積を掛ける」という答えなら、相続専門の税理士にセカンドオピニオンを求めるか、申告だけ別に頼むことを検討してください。
相続専門に頼む場合との違い
相続専門の事務所は、申告件数が多い分、土地の減額要因や特例の適用に慣れており、税務調査で指摘されやすい点(名義預金・生前贈与)の確認も手順化されています。報酬は遺産総額に応じた料金表で示されることが多く、当センターでは基本報酬が遺産総額4,000万円まで90,000円(税込99,000円)です。一方、会社の内情を一から説明する手間はかかります。
併用する方法もあります。顧問税理士には準確定申告や会社の手続きを、相続税申告は相続専門の税理士に頼み、自社株の評価に必要な決算書は顧問税理士から提供してもらう形です。両者が連携すれば、それぞれの強みを生かせます。
注意点
- 顧問税理士に頼む場合も、相続税申告の報酬は顧問料と別に発生します。見積もりを書面でもらってください
- 税理士費用は相続税の債務控除にならず、会社の経費にもなりません(会社の相続ではなく個人の相続だからです)
- どちらに頼む場合も、申告期限は相続開始から10か月です。早めに決めると評価や分割の検討に時間を使えます
まとめ
顧問税理士が相続に慣れていればそのまま頼んで問題なく、慣れていなければ相続専門の税理士との併用を検討してください。当センターは無料相談でセカンドオピニオンにも対応しています。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。