賃貸併用住宅(1階が店舗・賃貸、上が自宅)の相続税評価|自宅部分と賃貸部分の分け方、小規模宅地等の特例の併用

自宅と賃貸部分が一つの建物にある賃貸併用住宅は、床面積の割合で自宅部分と賃貸部分に分け、建物は自宅部分を自用家屋・賃貸部分を貸家、敷地も自用地と貸家建付地に分けて評価します。小規模宅地等の特例は自宅部分に特定居住用(330㎡・80%)、賃貸部分に貸付事業用(200㎡・50%)を併用でき、限度面積の調整計算があります。計算例と遺産分割での注意点をまとめます。

1階を賃貸や店舗にし、2階以上に自分が住む賃貸併用住宅は、大阪・神戸の市街地で多い形です。相続税の評価は「一つの建物に二つの用途がある」ので、分けて計算します。結論から書くと、床面積の割合で自宅部分と賃貸部分に分け、それぞれ自用・貸家として評価し、小規模宅地等の特例も部分ごとに別の区分で併用できます。

建物の評価

  • 自宅部分:固定資産税評価額 × 自宅部分の床面積割合(自用家屋)
  • 賃貸部分:固定資産税評価額 × 賃貸部分の床面積割合 × 70%(借家権割合30%を控除。空室があれば賃貸割合で調整)

例:固定資産税評価額3,000万円、延床200㎡のうち自宅120㎡・賃貸80㎡なら、自宅部分1,800万円+賃貸部分1,200万円×70%=840万円で、合計2,640万円。

敷地の評価

敷地も同じ割合で、自宅部分は自用地、賃貸部分は貸家建付地として評価します。自用地評価6,000万円・借地権割合60%なら、自宅部分3,600万円+賃貸部分2,400万円×(1−0.6×0.3)=1,968万円で、合計5,568万円。店舗併用住宅の按分と同じ考え方です。

小規模宅地等の特例の併用

部分 区分 限度面積 減額 主な要件
自宅部分の敷地 特定居住用宅地 330㎡ 80% 配偶者、または同居の子が取得して住み続ける など
賃貸部分の敷地 貸付事業用宅地 200㎡ 50% 取得者が申告期限まで貸付を続ける。相続開始前3年以内の新規貸付は原則除外

二つを併用するときは限度面積の調整があり、貸付事業用を使う面積が増えるほど特定居住用に使える面積が減ります(特定居住用の面積×200/330+貸付事業用の面積≦200㎡)。敷地300㎡で自宅60%・賃貸40%なら、自宅部分180㎡に80%、賃貸部分120㎡のうち調整後の面積に50%、という形になります。どちらを優先すると減額が大きいかは、㎡単価と面積で変わるので有利な選び方を試算して決めます。

遺産分割での注意点

  1. 建物も敷地も一体なので、自宅部分と賃貸部分を別の相続人に分けることは原則できません(区分登記されていれば別)。取得する一人を決め、他の相続人には預金や代償金で調整します
  2. 特定居住用の80%減は、取得者が配偶者か同居親族であることが前提です。別居の子が取得すると自宅部分の減額が使えないことがあります
  3. 賃貸部分の家賃は、分割がまとまるまでは法定相続分で各相続人の所得です

賃貸併用住宅は、評価の分け方と特例の組み合わせで税額が数百万円変わります。当センターでは、建物の図面・固定資産税の課税明細・賃貸借契約書から床面積の割合を確定し、特例の組み合わせを試算してから申告します。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

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