相続税申告の税理士報酬は「遺産総額の0.5〜1%」が目安とよく言われます。結論から言うと、この割合は多くの事務所の料金表を遺産額で割り戻したときの幅であり、財産の内容によっては大きく下回ることも上回ることもあります。
0.5〜1%という目安の根拠
この目安は、相続税申告の報酬に関する各種の解説記事で広く使われているものです。かつて税理士報酬には税理士会の会則で定められた報酬規定があり、廃止された後も、多くの事務所が遺産総額に応じた段階制の基本報酬を採用しました。その基本報酬に土地や相続人の加算を足した総額を遺産額で割ると、おおむね0.5〜1%の範囲に収まることから、目安として定着しています。
逆に言えば、割合そのものに法的な根拠はなく、事務所が決めた金額の結果として割合が出るにすぎません。
遺産額ごとの比較表
当センターの料金表で、自宅(土地1・建物1)と預金があり相続人が2人という一般的な例の総額を計算し、0.5%・1%と並べました。
| 遺産総額 | 0.5% | 1% | 定額型の総額例(税込) |
|---|---|---|---|
| 4,000万円 | 20万円 | 40万円 | 269,500円(0.67%) |
| 5,000万円 | 25万円 | 50万円 | 341,000円(0.68%) |
| 6,000万円 | 30万円 | 60万円 | 412,500円(0.69%) |
| 7,000万円 | 35万円 | 70万円 | 478,500円(0.68%) |
総額例の内訳は、基本報酬(4,000万円まで90,000円、5,000万円まで155,000円、6,000万円まで220,000円、7,000万円まで280,000円)+土地評価100,000円+建物評価5,000円+相続人加算50,000円を1.1倍したものです。
定額型との分かれ目
同じ遺産額でも、割合に対して定額型の総額が有利になるかは財産の内容で決まります。
- 不動産がなく預金中心:加算がほとんど付かず、総額は0.5%を下回ることが多い。4,000万円で相続人1人なら99,000円(0.25%)です
- 土地が1つ・相続人が2〜3人:上の表のとおり0.6〜0.7%程度で、目安の中ほどです
- 土地が複数・非上場株式がある:土地1利用単位ごとに110,000円〜、非上場株式1社ごとに110,000円〜が加わるため、1%に近づくことがあります
つまり、「何%か」より「加算がいくつ付くか」が総額を左右します。
注意点
- 遺産総額は、小規模宅地等の特例を使う前の価額で区分する事務所が多く、特例適用後の課税価格とは違います
- 税理士報酬は相続税の債務控除の対象にならず、相続税額からも差し引けません
- 割合で見積もる事務所の場合、遺産総額が確定するまで報酬も確定しないため、上限の有無を確認しましょう
まとめ
0.5〜1%は結果としての目安であり、定額型なら「基本報酬+加算」で総額が先に決まります。財産の内容を伝えて総額を出してもらい、割合に換算して比べると判断しやすくなります。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。