飲食店・店舗を相続するとき|内装造作・什器・営業権・賃借権・営業許可はどう扱う?

飲食店や小売店を相続すると、内装造作や厨房設備・什器は減価償却資産、店舗の賃借権や保証金は相続財産として評価します。営業権は超過収益力がある場合に計上し、営業許可は承継届で引き継げます。店舗相続の財産ごとの評価と手続きを整理します。

飲食店や小売店の事業主が亡くなり、家族が店を継ぐ場合、「店の価値」をどう相続財産に計上するかは意外と複雑です。内装、設備、在庫、店舗を借りる権利、営業の信用と、性質の異なる財産が一つの店に集まっているためです。この記事では、財産の種類ごとに評価の考え方と承継の手続きを整理します。

内装造作・厨房設備・什器

店舗の内装造作(カウンター、壁や床の仕上げ、間仕切りなど)は、自分の所有する建物なら建物の一部として、賃借した店舗に施したものなら「建物附属設備」や「器具備品」として扱います。相続税では、取得価額から定率法で減価償却した額が評価の目安です。

厨房機器、冷蔵庫、テーブルや椅子、レジなどの什器も同様に減価償却資産として評価します。中古市場での価格がある業務用厨房機器などは、その価格で評価することもできます。

計算例:5年前に800万円で施した内装(耐用年数15年、定率法償却率0.133) 800万円 ×(1 − 0.133)^5 ≒ 800万円 × 0.490 ≒ 392万円

帳簿上は償却が進んで少額になっていても、相続税では上の計算で評価します。逆に、退去時に撤去が必要で価値がないと説明できる造作は、低く評価できる余地があります。

店舗の賃借権と保証金

賃借している店舗については、次の2つを整理します。

項目 扱い
保証金・敷金 返還される見込みの額を相続財産に計上(償却される部分は除く)
借家権 権利金などの授受がある地域の慣行がある場合を除き、原則として評価しない

建物の賃借権(借家権)は、相続によって当然に承継されるため、大家の承諾は不要です。ただし、契約書で「借主の死亡で契約終了」と定めていたり、個人の信用で貸していた大家が難色を示したりすることがあるため、早めに連絡して名義変更の手続きを進めます。

営業権(のれん)

営業権は、店の立地や常連客、ブランドによって「同種の事業の平均を超える利益」を生んでいる場合に評価される財産です。相続税の評価は、過去の平均利益から事業主の労働に対する報酬相当額や投下資本の利益を引いた超過利益をもとに計算します。個人の飲食店では、事業主の技術や人柄に依存する部分が大きく、超過利益が算定されないことも多いですが、収益力が高い店舗では計上が必要になる場合があります。

営業許可と承継の手続き

飲食店の営業許可は、2021年の食品衛生法改正により、相続による承継の届出で引き継げるようになっています。相続人が相続開始後に保健所へ承継届を出せば、新たに許可を取り直さずに営業を続けられます。深夜酒類提供や風俗営業など別の許可が必要な業態は、それぞれの法律の承継規定を確認してください。

そのほか、個人事業の承継として、廃業届・準確定申告(4か月以内)、相続人の開業届と青色申告承認申請、消費税の納税義務の判定といった手続きが必要です。店舗の敷地を自己所有していて相続人が営業を続ける場合は、特定事業用宅地等として400㎡まで80%減額できます。

店舗の相続は、評価する財産の種類が多く、営業を止めないための手続きも重なります。無料相談で店舗の状況をお聞かせください。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

ご自身のケースではどうなるか、無料相談で確認できます。

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