社長個人の土地に会社の建物が建っているとき、「地代をいくらにしているか」が相続税の評価を決めます。結論から書くと、**固定資産税程度までの地代なら自用地100%、通常の地代で無償返還の届出があれば80%、届出がなければ借地権割合を引いた貸宅地、相当の地代なら届出の有無にかかわらず80%**です。会社の株式には、土地側で引いた分が借地権として乗ります。
早見表(自用地評価額1億円・借地権割合60%の例)
| 地代の水準 | 無償返還の届出 | 社長の土地の評価 | 会社の株式に計上する借地権 | 例(土地/借地権) |
|---|---|---|---|---|
| 無償(使用貸借) | あり | 自用地の100% | なし | 1億円/0円 |
| 固定資産税程度(使用貸借扱い) | あり | 自用地の100% | なし | 1億円/0円 |
| 通常の地代(固定資産税の2〜3倍程度) | あり | 自用地の80% | 自用地の20% | 8,000万円/2,000万円 |
| 通常の地代 | なし | 貸宅地(自用地×(1-借地権割合)) | 自用地×借地権割合 | 4,000万円/6,000万円 |
| 相当の地代(更地価額の年6%) | あり・なし | 自用地の80% | 自用地の20% | 8,000万円/2,000万円 |
| 権利金あり(通常の権利金を収受) | ― | 貸宅地(自用地×(1-借地権割合)) | 自用地×借地権割合 | 4,000万円/6,000万円 |
社長が株式の大半を持つ同族会社では、土地で減った分が株式に回るため、土地と株式の合計はどの段階でも1億円前後です。差が出るのは、株式が純資産価額だけで評価されない中会社・大会社の場合と、次の特例の可否です。
段階ごとの注意点
- 無償・固定資産税程度:相続税では使用貸借として自用地100%。届出がないと、会社に借地権の認定課税(受贈益)を受けるおそれがあります。親族・同族会社への使用貸借と同じ扱いです
- 通常の地代+届出あり:最も多い形。無償返還の届出がある貸宅地として80%、会社側は20%を純資産価額に加算します
- 通常の地代+届出なし:借地権の設定時に権利金の認定課税を受けているはずの形で、土地は貸宅地、会社は借地権割合分の借地権を持ちます。届出を出し忘れている会社がここに当たります
- 相当の地代:届出がなくても80%です。相当の地代と通常の地代の間の地代で届出がない場合は、地代の水準に応じて借地権を按分する計算になります
- 権利金あり:第三者との借地と同じで、会社は権利金を資産計上し、相続税では借地権割合で評価します
小規模宅地等の特例との関係
| 地代の水準 | 特定同族会社事業用宅地等(400㎡まで80%減額) |
|---|---|
| 無償・固定資産税程度 | 対象外(相当の対価でない) |
| 通常の地代以上 | 対象になり得る(会社の事業が不動産貸付業でない、取得者が役員などの要件) |
特定同族会社事業用宅地等が使えると、80%評価の8,000万円がさらに1,600万円まで下がります。無償で貸している土地との差は8,400万円です。
地代を改定するときの手順
固定資産税程度の地代を通常の地代に引き上げるには、賃貸借契約書を作り直し、無償返還の届出を出し、地代を口座振込にします。相続開始時点の実際の契約と支払いで判定されるため、早めに見直します。当センターでは、地代の水準別に土地と株式の評価がどう変わるか、特例の適用まで含めて試算しています。相続税申告は基本報酬99,000円(税込・遺産総額4,000万円まで)から、非上場株式の評価は1社110,000円(税込)から、初回相談は無料で承っています。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。