土壌汚染がある土地の相続税評価|浄化費用を控除する考え方と「汚染が判明している」という前提

工場跡地やガソリンスタンド跡地など土壌汚染がある土地は、汚染がないものとした評価額から浄化・改善費用の見積額の80%相当額などを控除して評価できます。国税庁の情報にもとづく計算の枠組み、相続開始時に汚染が判明していることが前提になる点、調査費用の扱いを解説します。

工場やガソリンスタンド、クリーニング店などに使われていた土地には、土壌汚染が残っていることがあります。結論から書くと、土壌汚染がある土地は、汚染がないものとした場合の評価額から、浄化・改善費用に相当する額などを控除して評価できます。財産評価基本通達には直接の規定がありませんが、国税庁が「土壌汚染地の評価等の考え方について」という情報を公表しており、実務はこれに沿って行います。

控除する項目

国税庁の考え方では、次の式で評価します。

汚染地の評価額 = 汚染がないものとした場合の評価額 − 浄化・改善費用に相当する金額 − 使用収益制限による減価 − 心理的要因による減価

項目 内容
浄化・改善費用 土壌汚染対策法などにもとづく除去・封じ込めなどの措置費用。見積額の80%相当額を控除する(路線価が時価の8割水準で設定されているため)
使用収益制限による減価 浄化後も利用が制限される場合の減価
心理的要因による減価 いわゆるスティグマ。客観的な根拠を示しにくく、認められにくい

実務で中心になるのは浄化・改善費用です。たとえば汚染がないものとした評価額が8,000万円、専門業者の浄化費用見積が2,000万円なら、控除額は2,000万円×80%=1,600万円で、評価額は6,400万円になります。

「汚染が判明している」ことが前提

この取扱いは、相続開始時点で土壌汚染の状況が判明している土地を対象にしています。「工場跡地だから汚染があるかもしれない」という可能性だけでは控除できません。土壌汚染対策法にもとづく調査結果、自治体の要措置区域・形質変更時要届出区域の指定、専門業者の調査報告書などで汚染の内容と範囲が分かっていることが必要です。

相続開始後に調査して判明した場合でも、相続開始時にすでに汚染が存在していたことを示せれば減額を検討できますが、個別の判断になります。申告後に判明したときは、申告後の土地評価の見直しと更正の請求の論点になります。

調査費用の扱いと注意点

  • 汚染の有無を調べる調査費用そのものは、浄化費用とは別のもので、評価額から直接控除する扱いにはなっていません。相続開始後に相続人が支出した調査費用も債務控除の対象にはなりません
  • 浄化が済んでいる土地は、控除の対象になりません
  • 区域指定を受けている土地は、法務局の登記ではなく都道府県・政令市の台帳で確認します
  • 汚染が重く、通達による計算では時価を上回ると考えられる場合は、不動産鑑定評価による申告も選択肢になります。地下の埋設物や産業廃棄物がある場合は、土壌汚染とは分けて撤去費用を検討します

浄化費用の見積は金額が大きく、税務署が根拠を確認しやすい項目です。業者の見積書、汚染の範囲図、区域指定の通知などをそろえ、書面添付で控除の計算過程を説明することが大切です。当センターでは、現地と役所の調査をしたうえで評価減を検討し、根拠資料を整えて申告します。土地の評価は1か所110,000円(税込)から、初回相談は無料です。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

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