地主の方の相談で、最初にお願いするのは「土地の一覧表」です。ところが、ご本人も「全部で何筆あるか正確には分からない」ことが珍しくありません。結論から書くと、相続対策は土地の棚卸し(所有地の一覧表)から始まり、一覧ができた時点で、納税資金が足りるか・特例が使える土地はどれか・処分を考える土地はどれかが見えてきます。
一覧表に入れる項目
| 列 | 内容 | 出どころ |
|---|---|---|
| 所在・地番・地積 | 筆ごと | 固定資産税の課税明細書、名寄帳、登記事項証明書 |
| 用途 | 自宅・貸家・アパート・駐車場・貸地(底地)・農地・山林・空き地 | 現況、契約書 |
| 固定資産税評価額 | 土地・建物 | 課税明細書 |
| 相続税評価額(概算) | 路線価×地積(補正は後回し) | 路線価、倍率地域は固定資産税評価額×倍率 |
| 減額の見込み | 貸家建付地、貸宅地、小規模宅地等の特例の区分 | 用途から判定 |
| 年間の収支 | 家賃・地代−固定資産税−管理・修繕 | 確定申告書 |
| 借入・敷金 | 物件ごとの残債、預り敷金 | 返済予定表、契約書 |
| 時価の目安 | 売ったらいくらか | 周辺の取引、不動産会社の査定 |
所在を確定する4つの資料
- 固定資産税の課税明細書:毎年の納税通知書に付いている。その市区町村内の課税対象の土地・建物が載る。免税点未満や非課税の土地は載らないことがある
- 名寄帳:市区町村ごとに、その人名義の不動産の一覧。課税明細に載らない土地も出る
- 登記事項証明書:筆ごとの正確な地積・地目・共有持分・抵当権
- 所有不動産記録証明書:2026年2月から法務局で、全国の登記名義の不動産を一覧で取れる。制度の内容。遠方の山林・原野の漏れを防ぐ
共有地、私道の持分、先代名義のままの土地は漏れやすいので、登記で確認します。
一覧から分かる3つのこと
1.納税資金が足りるか 相続税の概算(評価額の合計から基礎控除を引いて計算)と、預金・保険で払える額を比べます。足りない額が、売る土地の目安になります。延納・物納の検討もここから。
2.特例が使える土地はどれか 自宅(特定居住用330㎡・80%)、貸家・アパート・駐車場(貸付事業用200㎡・50%)、事業用(特定事業用400㎡・80%)。複数の土地がある場合の有利な選び方は、㎡単価の高い土地に優先して使います。
3.処分を考える土地はどれか 収支がマイナスで評価減もない土地(空き地・資材置場・遠方の山林)、共有で動かせない土地、底地のように収益が低く相続人が扱いにくい土地。これらは相続前に売却・交換・国庫帰属を検討します。
一覧の更新
一覧は一度作ったら、毎年の納税通知書が届く時期(4〜6月)に、路線価の更新(7月)に合わせて見直します。用途の変更(入居・退去・建替え)、借入の残高、売買があれば書き換えます。相続のときは、この一覧がそのまま財産目録の土台になります。
当センターでは、地主の方の土地一覧の作成と相続税の試算をセットでお受けしています。建設会社・不動産会社からの依頼でオーナーの一覧を作ることも多く、筆数が多い場合も対応しています。初回相談は無料です。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。