「幹線道路沿いの土地がある。アパートは建てたくないが、遊ばせておくのももったいない」。そうした土地に、コンビニ・ドラッグストア・介護施設などの事業者から「土地を貸してほしい」という話が来ることがあります。結論から書くと、事業用定期借地で土地を貸す方法は、建築資金も借入も不要で地代が入り、相続税では底地として評価が下がります。アパートほどの評価減はありませんが、リスクも小さいのが特徴です。
仕組み
- 土地を事業者に貸し、事業者が自分の費用で建物を建てて営業する。オーナーは地代を受け取る
- 事業用定期借地権:契約期間は10年以上50年未満(公正証書で契約)。期間満了で契約は更新されず、事業者が建物を取り壊して更地で返す
- 普通借地との違い:普通借地は更新が原則で、貸主から返してもらうのが難しい。定期借地は期間が来れば必ず戻る
相続税の評価
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 土地(底地) | 定期借地権の目的となっている宅地として、自用地評価額から定期借地権の価額(残存期間に応じた割合)を引く。残存期間が長いほど評価は低い。契約直後なら自用地の70〜80%程度になることが多い |
| 小規模宅地等の特例 | 土地の貸付も貸付事業なので、貸付事業用宅地として200㎡まで50%減額(相続開始前3年以内の新規貸付は原則対象外) |
| 保証金 | 事業者から預かる保証金のうち返還する額は債務控除。無利息で長期の場合は現在価値に引き直した額で評価 |
| 地代 | 相続開始日までに支払期日が来た未収地代は相続財産 |
建物は事業者のものなので、オーナーの財産には入りません。借入もないので債務控除もありません。
アパートを建てる場合との比較
| 事業用定期借地 | アパート建築 | |
|---|---|---|
| 初期費用 | ほぼ不要 | 建築費(借入) |
| 収入 | 地代(固定・長期) | 家賃(空室・下落あり) |
| 相続税の評価減 | 底地評価+貸付事業用50% | 貸家建付地+建物の貸家評価+貸付事業用50%+債務控除 |
| 令和8年度改正 | 土地の貸付は対象外 | 5年以内の相続は時価の8割 |
| 期間満了後 | 更地で戻る | 建物が残る(老朽化・解体費) |
| 途中解約 | 事業者の撤退リスク(契約で違約金を定める) | 売却は可能 |
相続税の評価減はアパートのほうが大きい一方、借入・空室・修繕の負担がありません。「相続税を最も下げる」のではなく「相続人が困らない形で、評価も下げる」選択肢として検討します。
契約で確認すること
- 期間(残存期間が相続時の評価に影響)、地代の改定条項
- 保証金の額と返還条件、中途解約の違約金
- 満了時の原状回復(建物の取り壊し費用は事業者負担か)
- 事業者の信用(撤退した場合の対応)
当センターでは、定期借地で貸した場合・アパートを建てた場合・売った場合・そのまま持った場合の相続税と収支を同じ表で比べる試算を行っています。建設会社や不動産会社からの提案を受けている段階でのご相談も多く、初回相談は無料です。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。