大阪・京都・奈良の周辺には古墳や集落跡が多く、住宅地でも「周知の埋蔵文化財包蔵地」に指定されている土地が少なくありません。結論から書くと、埋蔵文化財包蔵地にある土地は、発掘調査費用の負担が見込まれる場合に、その費用相当額の80%を控除して評価できる余地があります。財産評価基本通達に直接の規定はありませんが、土壌汚染地の評価の考え方にならった方法が国税不服審判所の裁決でも認められています。
埋蔵文化財包蔵地とは
文化財保護法では、遺跡が埋まっていることが知られている土地を「周知の埋蔵文化財包蔵地」とし、その範囲で土木工事をするときは着手の60日前までに届出が必要です。届出を受けた教育委員会が試掘調査を行い、遺構が確認されると本格的な発掘調査(本発掘調査)が求められ、その費用は原則として事業者(土地所有者)の負担になります。
ただし、個人が自分の住宅を建てる場合は国や自治体の補助で自己負担がほとんどないことが多く、負担が見込まれるのは主にアパートや事業用建物を建てるケースです。
控除が認められる条件
- 土地が周知の埋蔵文化財包蔵地の範囲にある
- 試掘調査の結果や文化財保護課の指導で、建築時に本発掘調査が必要になる見込みが具体的にある
- 発掘調査費用を土地所有者が負担することが見込まれる(補助でまかなわれる個人住宅は原則対象外)
- 発掘調査費用の見積が専門業者や自治体の資料で裏づけられている
これらがそろえば、汚染地の評価と同じく「発掘調査費用の見積額×80%」を、包蔵地でないものとした評価額から控除します。たとえば評価額5,000万円、見積が1,000万円なら控除は800万円で、評価額は4,200万円です。「包蔵地だから一律で減額」ではなく、費用負担の見込みが前提になる点に注意してください。
文化財保護課で確認すること
市区町村の文化財保護課(教育委員会)では、遺跡地図で包蔵地の範囲と遺跡の名称・種類を確認できます。多くの自治体はインターネットでも公開しています。役所調査では次の点を聞きます。
- 土地が包蔵地の範囲に入っているか、一部だけか
- 周辺で過去に行われた試掘・本発掘の記録と、遺構が出た深さ
- 建築の規模ごとに、どの程度の調査が求められる見込みか
- 調査費用の目安(1㎡あたりの単価や期間)
注意点
- すでに発掘調査が済んでいる土地(記録保存が終わっている)は、再度の調査が求められないため控除の対象になりません
- 包蔵地の範囲が土地の一部にかかるだけなら、その部分の面積で費用を見積もります
- 控除の根拠が弱いと否認の対象になるため、見積書・遺跡地図・文化財保護課の回答を資料として残し、書面添付で説明します
当センターの相続税申告では、現地と役所の調査で包蔵地の該当を確かめたうえで控除を検討し、根拠を書面添付で示します。土地の評価は1か所110,000円(税込)から、初回相談は無料で承ります。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。