鉄道の線路に面した土地や、トラックが行き交う幹線道路沿いの土地は、騒音・振動で住環境が悪く、取引価格も下がります。結論から書くと、騒音・振動が著しく、その事情が路線価に織り込まれていない宅地は、評価額の10%を控除できる場合があります。ただし「線路沿いだから」というだけでは認められず、客観的な資料で示すことが前提です。
控除の条件
国税庁の取扱いでは、「震動の甚だしい宅地」「騒音などにより、その取引金額に影響を受けると認められる宅地」を、利用価値が著しく低下している宅地の例に挙げています。控除の対象になるには、次の2つを満たす必要があります。
- 付近の宅地と比べて騒音・振動が著しいこと
- その事情が路線価に織り込まれていないこと
線路沿いの道路全体に低い路線価が付けられていれば、すでに反映されているとみなされ控除できません。一方、線路と平行ではなく直角に交わる道路沿いの土地では、同じ路線価でも線路に近い土地だけが騒音の影響を受けるため、その土地について控除を検討できます。
資料のそろえ方
| 資料 | 内容 |
|---|---|
| 騒音の測定記録 | 騒音計で昼間・夜間の値を複数回測り、日時と場所を記録する。環境基準(住宅地で昼間55デシベル・夜間45デシベル程度)を上回っていれば説明しやすい |
| 線路・道路からの距離 | 公図や測量図に線路の位置を落とし、敷地との距離を示す |
| 列車本数・車両の種類 | 時刻表や道路の交通量データで頻度を示す |
| 周辺の路線価の比較 | 線路沿いの路線とその裏手の路線の路線価を並べ、差がなければ織り込まれていないことの根拠になる |
| 現地写真 | 線路との位置関係、防音壁の有無、振動によるひび割れなど |
騒音計は市販のもので構いませんが、自治体の環境課が測定した周辺のデータがあれば併せて添付します。現地調査では、通過時だけでなく時間帯を変えて確認します。
計算例
路線価20万円/㎡、奥行価格補正後の評価額が4,000万円の宅地全体が線路に面している場合、4,000万円×10%=400万円を控除し、3,600万円が評価額です。奥行きが深く、線路から離れた奥側は影響が小さいと見るなら、影響を受ける部分の地積に限って10%を控除します。
認められにくいケース
- 地域全体が線路沿いや幹線道路沿いで、路線価がすでに低い
- 幹線道路沿いで商業的な価値が高く、騒音より利便性が評価されている地域
- 測定記録がなく「うるさい」という主観だけの主張
- 防音壁や地下化で、相続開始時には騒音が解消されている
商業地では、幹線道路に面していることがむしろ路線価を高くしているため、騒音を理由にした控除は難しいのが実情です。住宅地で、かつその土地に特有の事情である場合に絞って検討します。墓地や火葬場などに隣接する土地の控除も同じ枠組みです。
当センターの相続税申告では、現地での確認と周辺の路線価の比較をしたうえで控除の可否を検討し、測定記録などの根拠を書面添付で示します。土地の評価は1か所110,000円(税込)からで、初回相談は無料です。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。