坂の多い住宅地では、道路から階段を上がった先に家がある、逆に道路より1階分低い位置に敷地がある、という土地が珍しくありません。結論から書くと、道路との高低差が著しく、付近の宅地と比べて利用価値が低下している土地は、その部分の評価額の10%を控除できます。これは財産評価基本通達ではなく国税庁の取扱い(タックスアンサー)にもとづくもので、減額の対象になり得ますが、判断基準に幅があるため資料の残し方が大切です。
10%控除の対象になる高低差
国税庁の取扱いでは、「道路より高い位置にある宅地または低い位置にある宅地で、その付近にある宅地に比べて著しく高低差のあるもの」を、利用価値が著しく低下している宅地の例に挙げています。利用価値が著しく低下している宅地の10%減額の一類型です。
「著しい」高低差に公的な数値基準はありません。実務では次のような事情を総合して判断します。
- 道路から敷地へ車で入れず、階段でしか出入りできない
- 高低差が1m程度を超え、建て替え時に擁壁や盛土・切土の費用がかかる
- 道路より低く、日照や排水に支障がある
- 隣接する宅地は道路と同じ高さで、その土地だけが高い(低い)
控除する範囲は、高低差で利用価値が下がっている部分の地積です。土地の奥側だけが一段高いなら、その部分に対する10%になります。
路線価に織り込まれているかの見分け方
同じ道路沿いの宅地がすべて道路より高い位置にある場合、その事情は路線価に反映されているとみなされ、控除できません。確認は次の手順で行います。
- 同じ路線沿いの他の宅地の高低差を現地調査で見る
- その路線の路線価を、周辺の平坦な道路の路線価と比べる。明らかに低く付いていれば織り込み済みの可能性が高い
- その土地だけが高い(低い)と言えるなら、控除の根拠になる
がけ地補正との使い分け
| 項目 | 高低差による10%控除 | がけ地補正 |
|---|---|---|
| 対象 | 道路や隣接地との高低差で宅地全体(または一部)の利用価値が低い | 敷地の中に通常の用途に使えない急斜面がある |
| 計算 | 対象部分の評価額×10% | がけ地の割合と方位で定められた補正率を掛ける |
| 根拠 | 国税庁の取扱い | 財産評価基本通達 |
道路との段差は擁壁で処理され、敷地自体は平坦という土地にはがけ地補正は使えず、高低差の10%控除を検討します。逆に敷地内に斜面があるならがけ地補正です。両方の事情がある土地でも、同じ理由で二重に減額することはできません。
残す資料
- 道路面と敷地面の高低差を示す写真(メジャーやポールを写し込む)
- 測量図・断面図、または現地で計測した高低差の記録
- 同じ路線沿いの他の宅地の状況が分かる写真
- 周辺の路線価の比較表
これらを土地評価明細書に添え、書面添付で判断の過程を説明します。
当センターの相続税申告では、現地で高低差を計測し、周辺の路線価と比べたうえで控除を検討し、書面添付で根拠を示します。土地の評価は1か所110,000円(税込)から、初回相談は無料です。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。