市街地にある畑や山林、傾斜のある雑種地は、宅地並みの路線価で評価すると高くなりすぎます。結論から書くと、宅地比準方式で評価する農地・山林・雑種地は、宅地としての価額から「宅地に転用する場合に通常必要な造成費」を控除でき、その単価は国税庁が都道府県ごとに毎年公表しています。造成費の控除を忘れると、数百万円単位で評価が高くなることがあります。
宅地比準方式と造成費
市街地農地・市街地山林・市街地の雑種地は、その土地が宅地であるとした場合の価額(路線価×地積、倍率地域なら近傍宅地の価額)から、宅地に転用するための造成費相当額を差し引いて評価します。
評価額 =(宅地としての1㎡当たりの価額 − 1㎡当たりの造成費)× 地積
造成費は、国税庁の財産評価基準書に「宅地造成費の金額表」として各国税局・都道府県別に載っています。平坦地と傾斜地で表が分かれています。
平坦地の造成費の項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 整地費 | 凹凸をならし、地盤を平らにする費用 |
| 伐採・抜根費 | 樹木がある場合に伐採し根を抜く費用 |
| 地盤改良費 | 湿田など軟弱な地盤を改良する費用 |
| 土盛費 | 道路より低い土地に土を盛る費用(高低差1㎡当たり) |
| 土止費 | 土盛りした土が崩れないよう擁壁を作る費用(擁壁の面積当たり) |
土地の状況に応じて該当する項目を足し合わせます。たとえば路線価10万円/㎡・奥行価格補正率1.00・地積300㎡の市街地農地で、整地費と土盛費などの合計が仮に1㎡当たり1万5,000円なら、(10万円−1万5,000円)×300㎡=2,550万円が評価額です。
傾斜地の造成費
傾斜度が3度を超える土地は、平坦地の項目を積み上げる代わりに、傾斜度の区分(3度超5度以下、5度超10度以下、10度超15度以下…30度以下まで)ごとに定められた1㎡当たりの造成費を使います。傾斜度は、土地の最も高い点と低い点の高低差と水平距離から求め、測量図や現地の計測で確かめます。がけ地補正は宅地の一部が崖の場合の補正で、宅地比準方式の造成費とは使う場面が違います。
宅地への転用が見込めない場合と注意点
傾斜が30度を超える、造成費が宅地としての価額を上回るなど、宅地への転用に経済合理性がない市街地山林は、宅地比準ではなく近隣の純山林の価額で評価できます。造成費を引いた結果がマイナスやごく小さな額になるときは、この取扱いを検討します。
そのほか、次の点に注意します。
- 造成費の表は毎年改定されるので、相続開始年分の表を使います
- 路線価がすでに傾斜や低地を織り込んでいる場合は、二重の減額にならないよう確認します
- 500㎡以上なら地積規模の大きな宅地の規定も併せて検討します
当センターの相続税申告では、現地で高低差や傾斜の状況を確かめたうえで造成費の控除を検討し、書面添付で計算の根拠を示します。土地の評価は1か所110,000円(税込)からで、初回相談は無料です。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。