幹線道路沿いの土地では、道路から一定の距離までが商業系の用途地域、その奥が住居系の用途地域になっていることがよくあります。結論から書くと、用途地域の境界が土地の中を通っている場合、相続税評価で減額の対象になるのは容積率の差で、建ぺい率や高さ制限の違いは通達の減額項目にはなっていません。まず境界線がどこを通るかを正確に確認することが出発点です。
用途地域の境界線の引かれ方
用途地域の境界は、道路や河川などの地形で区切られることもあれば、「幹線道路の境界線から20m(25m・30m)の線」のように道路から一定の距離で引かれることもあります。後者の場合、道路に面した土地は奥行きの途中で用途地域が変わります。
確認は市区町村の都市計画課で行います。都市計画図(多くの自治体がインターネットで公開)で色分けを見て、境界が「道路境界から何mか」を窓口で聞きます。図面の縮尺では数mの誤差が出るため、窓口で距離の根拠を確認してから、測量図や公図に境界線を落とし込みます。役所調査では、用途地域と併せて容積率・建ぺい率・高度地区の指定も控えておきます。
各規制が土地にどう適用されるか
| 規制 | 2つの地域にまたがる場合の適用 |
|---|---|
| 容積率 | 各部分の面積で加重平均した値が敷地全体の限度になる |
| 建ぺい率 | 容積率と同じく面積で加重平均する |
| 用途制限(建てられる建物の種類) | 敷地の過半が属する地域の制限が全体に適用される |
| 高さ制限・斜線制限 | 建物の各部分がある地域の制限が、その部分に適用される |
このうち相続税評価の通達で減額の規定があるのは容積率だけです。正面路線側の容積率より奥側の容積率が低いときに、地積と容積率の加重平均から減額割合を求めます。計算式と数値例は容積率が異なる2つの地域にまたがる宅地の評価で解説しています。
建ぺい率・高さ制限の違いは評価に反映されるか
建ぺい率や高さ制限が奥側で厳しくなっていても、通達にはそれを理由にした減額の規定がありません。路線価は正面路線の状況を前提に付けられているため、建ぺい率の差で実際の利用価値が下がっている場合でも、通達の範囲では減額できず、差が大きいときは鑑定評価で時価を示すことを検討します。
一方、路線価の「地区区分」(普通商業・併用住宅地区、普通住宅地区など)は正面路線の地区区分で判定し、奥行価格補正率や不整形地補正率の表もその地区区分のものを使います。用途地域の境界をまたいでも、地区区分を分けて評価するわけではありません。
実務の手順
- 都市計画図と窓口で用途地域の境界線の位置と根拠(道路境界からの距離)を確認する
- 測量図に境界線を落とし、各部分の地積を求める
- 奥側の容積率が低ければ、容積率の差による減額を計算する
- 都市計画道路の予定地が重なっていれば都市計画道路予定地の減額も併せて検討する
当センターの相続税申告では、役所で用途地域の境界を確かめたうえで容積率の減額を検討し、図面と計算過程を書面添付で示します。土地の評価は1か所110,000円(税込)から、初回相談は無料です。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。