会社経営者の相続で最も税額を左右する非上場株式(自社株)の評価方法が、大きく見直されようとしています。2026年10月時点の結論を先に書くと、新しい評価方法はまだ決まっていません。ただし、国税庁の有識者会議で示された案が採用されると、会社によっては評価額が今より大きく上がる可能性があり、2027年度の税制改正に向けた議論が続いています。
何が示されたのか
国税庁は「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」を重ね、2026年夏の会議で見直しの方向性を示しました。報道や公表資料によると、主な内容は次のとおりです。
- 会社の規模(大会社・中会社・小会社)による区分をやめる
- 事業を続けている会社は、帳簿上の純資産(簿価純資産)を評価の土台にする
- 会社の収益力を反映する「残余利益」を使った、収益を軸にした方式(インカムアプローチ)を中心にする
現在の評価は、上場している同業種の株価と比べる「類似業種比準方式」と、会社の純資産で評価する「純資産価額方式」を、会社の規模に応じて組み合わせています。示された案は、この仕組みを根本から変えるものです。
反対意見と、決まっていないこと
報道によると、日本商工会議所は意見書で、案が採用されれば多くの中小企業の事業承継が成り立たなくなると批判し、残余利益方式では評価額が現行の2倍から5倍近くになる試算があること、評価水準を左右する計算要素の数値が示されていないことを指摘しました。経済産業省からも異論が出ています(日本経済新聞 2026年9月30日)。
つまり、現時点では「どの方式を」「どんな数値で」「いつから」適用するかのいずれも確定していません。相続や贈与が発生した場合は、その時点で有効な通達にもとづいて評価します。
会社経営者が今から確認しておきたいこと
- 現在の評価額を把握する:今の方式での自社株の評価額を知らないまま制度が変わると、対策の優先順位が付けられません
- 事業承継税制の検討:特例措置を使うには特例承継計画の提出が必要です。評価方法が変わっても納税猶予の枠組みは別の制度なので、適用できるかを確認しておきます
- 急いで株価を下げる対策はしない:見直しの内容が固まる前に大きく資産構成を変えると、相続直前の対策として否認される事例(総則6項の記事)もあります
まとめ
非上場株式の評価の見直しは、2026年10月時点では案の段階で、反対意見も強く、内容は確定していません。会社経営者は、まず現在の方式での評価額を確認し、制度の動きを見ながら事業承継税制などの検討を進めるのが現実的です。自社株の評価は当センターでも承ります(非上場株式の評価は1社110,000円〜・税込)。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。